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ちょっと痛いけどやっておきたい! 歯科医がオススメする「歯の治療 Best 5」

■第5位:歯ぐきの検査 歯周病の治療には必須ともいえるのが、「ポケット測定」という歯ぐきの検査です。歯の周囲に存在している「ポケット」と呼ばれる溝の深さを測るため、プローブと呼ばれる直径~程度の金属の棒を歯の周囲の歯ぐきの溝に軽く挿入します。 そして約25gの力を加えたときに停止した場所をポケットの底と考えて深さを計測します。この深さが1~2mmだと健康な歯ぐき、4mm以上の深さは、歯周病と診断されることが多くなります。 わずか25gの圧力ですので、健康な歯ぐきであれば、ほとんど痛みも感じませんが、歯肉炎や歯周病などの出血しやすい状態の歯ぐきの場合、触れるだけで出血して痛みを感じてしまうことがあります。 歯周病の診断には欠かすことのできない検査のため、正しい診断のためにもぜひやっておきたい検査です。 ■第4位:型を取る前の歯の修正 歯にかぶせものや、はめ込み金属などを作る時に歯を削りますが、神経を取ってある歯などは、麻酔しないで削ることがあります。このとき歯は痛くありませんが、歯と歯ぐきの境目付近を削っているうちに、歯ぐきの痛みや出血が起こる事があります。(口腔洗浄器) 審美的によいかぶせものにするためには、歯とかぶせものの境目を自然な感じに見せる必要があります。そのため歯ぐきの少し下の部分まで、歯を削ることになります。このときの歯ぐきの出血の多くは、歯ぐきを削るからではなく、歯の削りカスや水が空気の力で吹き飛ばされて、歯ぐき傷をつけることがほとんどです。 歯の周囲にプラークが付着して歯肉炎になっている場合は、さらに簡単に出血しますが、歯ぐきをわざと削ることはありませんし、少し傷がついても歯ぐきの回復は早いので過度な心配はしなくても大丈夫です。 ■第3位:さな虫歯の除去 臨床の現場では虫歯の治療の際、麻酔をするかしないかを決める明確なルールはありません。麻酔も薬である以上、できるだけ使用しないほうがよいという考え方をするのが一般的でしょう。そのため小さな虫歯を治療する際には、麻酔を使用しないケースも考えられます。 そんな小さな虫歯の治療のとき、場所によってはチクチク感じることがあります。実はこの痛みを参考に虫歯を削る量の判断材料にしていることもあります。こんなときは、個人差もありますが、少しの痛みで治療が短時間で終わるものであればそのまま治療を行ないます。ある程度の痛みがあり、治療に時間がかかるようであれば、途中から麻酔の追加をアピールするのがよいと思います。 ■第2位:麻酔 最近では針を刺す部分にあらかじめ表面麻酔を塗り、さらに極細の針を使用するため、麻酔の針を刺す瞬間の痛みは、かなり少なくなっています。それでも歯科で利用する局所麻酔は、見えない部分(口の中)に注射されるイメージがあるためか苦手な人が多いようです。 注射ぎらいの人の中には、麻酔をしないで治療をしてほしいという人もいます。しかし神経がある歯は表面のエナメル質より内部の刺激は全て痛みとして感じます。そのため大きくて深い虫歯には、麻酔が欠かせません。 また歯周病の治療に関しても、中程度から重度の歯周病では、治療で歯石を除去する際に痛みが出やすいので、麻酔をした方が痛みもなく快適に治療ができます。麻酔する際のわずかな痛みは、麻酔なしでの治療の痛みよりはるかに少ないものです。 ■第1位:歯石取り ちょっと痛いけどやっておきたい歯の治療の第1位は歯石取りです。軽い歯石であれば麻酔を利用せずに歯石を取ることが多いためか、チクチクすることもしばしばです。 歯石取りがどうしてチクチクしやすいのか? それは歯石があるために、歯石に接触している歯ぐきに炎症が起こっているからです。もし歯石のない健康な歯の部分を同じように刺激しても出血や痛みはそれほどでもないのですが、炎症があって敏感な部分の歯石を取る際、刺激してしまうので痛みが出やすいのです。 定期的に歯石を除去すると、取るときの痛みが少なくて済みます。さらに一度しっかり除去できれば、あとは自分の管理で歯石がつくのを防ぐことが可能なので、歯石を取ったら歯垢が歯石になる前に取り除くようにブラッシングを頑張りましょう。(超音波スケーラー)
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大根おろしで歯茎の腫れを改善!歯槽膿漏の症状を和らげる方法

はじめに 歯茎の腫れや膿み…歯槽膿漏の症状に悩んだ時、少しでも自宅でできる対処かあればいいですよね。 ここでは、著者が実践している歯槽膿漏の対処法をご紹介します。 著者の症状 著者は出産後歯茎の腫れが気になり始め、初期の歯槽膿漏と診断されました。 半年に一度受診をしていますが、突発的に腫れてしまったときは以下の方法を試しています。 用意するもの 大根(写真は丸大根、長大根でも可) 塩 おろし金 ふきん 大根おろしで歯茎の腫れを抑える方法 STEP1:大根をおろす おろし金で大根おろしを作ります。大さじ1程度の量があれば大丈夫です。 STEP2:絞る ふきんなどで水気を絞ります。 この際、滅菌ガーゼなどを使えば、そのガーゼ自体も湿布として打ち身や歯茎の痛みに使えます。 STEP3:塩と混ぜる 大根おろしの搾りかすに、塩をひとつまみ混ぜます。 STEP4:塗布する 腫れている部分に塗布します。唇で押さえるようにして2〜3分おき、口をゆすぎます。 感想 1日3回、毎食後行いました。3日ほどで膿が出て、きれいになりました。(超音波スケーラー) それ以来突発的な腫れはこれで対処し、通院もしていますが最近は歯石の掃除だけで済んでいます。 おわりに いかがでしょうか。歯石の掃除などはなかなか家でできないので、歯茎が腫れやすい人は半年に1度は歯科医に出向かれたほうが良いかと思いますが、突発的な腫れにはこの方法で対処できます。 覚えておくと役に立ちますよ。この記事が少しでもお役に立てば幸いです。
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【インプラント周囲炎】人工の歯だから大丈夫という油断が引き起こす病気

【インプラント周囲炎】人工の歯でも容赦なく襲う病気 歯周病を起こし、無くなった歯の再生治療として“インプラント治療”は有効手段です。 歯が無くなった部分にフィクスチャー(ネジ)を植え込み、人工の歯をかぶせるので、また噛む喜びや食べる喜びを感じる事ができます。しかも、顎骨に直接結合しますので歯根と同じ役割をし、より本物に近い義歯を手に入れることができます。(歯科用高圧蒸気滅菌器) しかし、インプラント治療をしたからと言っても、永久的に大丈夫というわけではありません。ケアを怠り放置しておけば、やがてその歯を失いかねない事になります。 『インプラント周囲炎』という病気になってしまうのです。 口の中は、常に細菌が存在していますので、ケアを怠ると菌の働きは強まります。そして、それは天然の歯・義歯問わず容赦なく襲い蝕んでいきます。 その結果、せっかく植えた義歯を失う事もあるのです。 「インプラントだから大丈夫」という油断が招いた、悲しい結末になってしまうのです。 原因は歯周病菌の浸食とプラーク インプラント周囲炎は『ケアを怠った事』が引き金になります。 この原因を作っているのが、プラークに潜む歯周病菌です。この菌は歯周病を引き起こす細菌で、放置しておくと、どんどん増殖し歯や歯の周辺を蝕んでいきます。 そして、この細菌は“インプラントだけ浸食しない”という様な事は決してしないのです。 天然の歯や人工の歯であっても、容赦なく襲います。 口の中で増殖し菌にとって好環境な状態が続くと、インプラントやその周辺に菌が浸食し、気が付いた頃には取り返しのつかない事になる場合もあります。 インプラント周囲炎にさせない3つの方法 せっかく植え込む事ができた義歯を、台無しにしない為にはどうしたら良いでしょうか? 3つの点に気を付けて、インプラント周囲炎を防ぐことができます。 方法1 丁寧な歯磨き インプラント周囲炎予防の第1歩は、何と言っても『歯磨き』です。丁寧な歯磨きをして歯垢(プラーク)を、残さない様にしましょう。そして、細菌が繁殖しにくい口腔環境を作り上げましょう。 丁寧な歯磨きを欠かさず行なう事で、インプラント周囲炎の元を断つことができます。 方法2 歯医者での専門的予防 丁寧な歯磨きをしても、歯垢(プラーク)は残る事があります。しかも、歯間など歯磨きが難しい所は、なかなか歯垢を取り除く事は出来ません。それが原因でインプラント周囲炎になってしまえば、せっかくの義歯を失う事になりかねません。インプラント治療をしたのであれば、定期的に歯医者に行って歯垢を除去してもらいましょう。 さらに、かみ合わせの調整もしてもらいましょう。 専門科による施術で、インプラント周囲炎の発症を防ぐことができます。 方法3 喫煙をしない 喫煙者は非喫煙者に比べて、3倍以上も歯周病の発症率が高いと言われています。喫煙する事で口腔状態は、歯周病菌にとって好環境になります。例えば、喫煙による低酸素状態や白血球の機能低下、歯肉を修復する機能の低下など、喫煙は何一つ良い事はありません。 歯磨きや歯医者による予防を行なっていたとしても、喫煙で歯周病の増殖を助けてしまえば全くの無意味なのです。インプラント周囲炎を防ぎたいのであれば、喫煙しない事が一番です。(オートクレーブ 歯科) 3つの方法で見事にインプラント周囲炎を予防する インプラント周囲炎は、インプラント治療をした人が必ず発症させるものではありません。日頃からのケアをしっかりと行なっていれば、炎症を起こす事も歯を失う事も無いのです。…
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歯茎が下がってきたら要チェック!歯科医が教える「歯磨きテク」3つ

そこで今回は、富山県小矢部市で『渡辺歯科医院』の院長を務める渡辺智良先生に、下がった歯茎 を戻す歯磨きテクを教えてもらいました。歯茎が下がる原因についても教えてもらったので、併せて参考にしてみてください。 ■1:歯垢による炎症で歯茎が下がっている場合 歯周炎とまでは行かなくても、歯肉炎で歯茎がはれてしまっている人はいませんか? 歯茎のはれ(歯肉炎)を放置していると、歯茎がやせて(下がって)しまうそう。 歯茎の炎症は歯垢(プラーク)の掃除が不十分なため起きているので、渡辺先生によれば、「歯と歯茎の境目のプラークをしっかり落とし、歯と歯茎の境目を中心に10~20往復、横にこすってください」とのこと。 「炎症がなくなれば、自然と歯茎は回復」するそうなので、炎症が出ている人は丁寧に歯と歯茎の境目を清掃してくださいね。放置していれば深い歯周ポケットができて、歯周炎になってしまうかも……。(口腔内カメラ) ■2:ブラッシングが強過ぎるために歯茎が下がっている場合 「歯と歯茎の境目の歯垢を落とさなければ駄目」と言っても、強過ぎるブラッシングはNG。歯並びなどの影響で歯茎の一部が他より薄くなっている場合もあるそうで、そうした弱い部位を強くブラッシングしてしまうと歯茎が下がってしまうとか……。 「どうしても力が入ってしまう」と言う人に渡辺先生は、「スタートとして、歯と歯茎の境目に歯ブラシを当て、横に往復せずに下から上、下から上と片道1方向で、ブラシを持ち上げるように磨いてください」とアドバイスをくれました。 歯茎を傷めない磨き方を続けているうちに、自然と歯茎は戻ってくるとのことです。一度自分のブラッシングが強過ぎるかどうか、かかりつけの歯科医師に見てもらうといいかもしれませんね。 ■3:歯並びが悪くて歯茎が下がっている場合 歯並びが悪くて、1本だけ列から飛び出した歯がありませんか? 八重歯などはその典型例ですが、実はそうした前に飛び出した歯の歯茎は、他よりも一般的に薄いので、注意せずに強く歯磨きをしているとやせてしまうそうです。 「ゴシゴシとこすらず、歯茎を傷付けないで磨いてください」と、渡辺先生。具体的な磨き方は、2番で紹介した下から上に一方向で磨く方法ですね。(歯科ホワイトニング機器) それでも歯茎が戻ってこない場合は、歯科矯正で出っ張った歯を列に戻したり、保険診療で歯茎の移植を行ったりする手もあるとか。どうしても気になる場合は、かかりつけの歯科医師に相談したいですね。 以上、下がった歯茎の原因と歯磨きテクをまとめましたが、いかがでしたか? 美しい笑顔のためにも、歯茎美人を目指してみてください。
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虫歯は遺伝する

乳歯の虫歯は、遺伝する可能性があるようだ。 アメリカのナッシュビルにあるバンダービルト大学の研究グループがジャーナル・オブ・デンタル・リサーチ誌の7月号で報告している。 乳歯を絞った初のゲノムワイド関連研究 虫歯と遺伝との関係はこれまで研究されてきたが、乳歯に焦点を絞って大規模な検証がなされていなかった。今回の研究は初めての「ゲノムワイド関連研究」と呼ばれる研究となった。人間の体の設計図とも言えるヒトゲノム配列は30億塩基から成る。そのゲノムの塩基配列は基本的にはほぼ同じだが、数百カ所に1カ所だけ異なる部分が存在することがあって、この「SNP(一塩基多型)」と呼ばれる違いが病気のかかりやすさの差を生み出す。これを全ての遺伝子を対象に調べる研究となる。口腔洗浄器 研究グループは3歳から12歳の子供たちを対象にして、乳歯の虫歯と遺伝子について調査した。 この結果、「MPPED2」という遺伝子のSNPが虫歯に関連していた。従来の類似の研究の結果が裏付けられる結果となった。機能については不明のまま。「ACTN2」という遺伝子もが虫歯に影響を与えていた。 遺伝子を調べて、虫歯の予防に力を入れるべきか否かを判断できるようにもなるかもしれない。
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むし歯(う蝕)を歯医者で治療した時の症状の体験談

はじめに 当記事では、むし歯の症状のバリエーションを知りたい方に向けて、著者が経験した症状についてご紹介します。 著者は36歳の女性で、むし歯の経験歴は子どものころから数回あります。一番最近のむし歯の治療は、3年前の11月の終わりから約9か月間にわたるものでした。 むし歯は、一度その状態になってしまうと自然には治りません。しかも、治療をしても、自分でしっかりと歯磨きをしないとまたむし歯になってしまう恐れがあります。どうぞ皆さんも、ご自分の歯を大切になさってください。 最近経験したことのあるむし歯の症状 3年前の9月 職場でパソコンに向かって仕事をしながら、ペットボトルに入った冷たいお茶を口に含んだ時に、前歯にしみるような感じがしました。この時はまだ、あたたかい飲み物を口にした時にはしみませんでした。 歯科医院に行きたくなかったこともあり、冷たいものを飲まないようにすることでしのいでいました。 10月 職場の昼休みの時にお弁当を食べていた時や、自宅で食事を取っていた時に、揚げ物などの少し硬いものを奥歯で噛んだ時に痛みが走るようになっていました。この頃になるとドラッグストアで鎮痛剤を買い、毎食後に飲んで痛みをごまかしていました。 11月から受診直前 夜寝ている時も歯が疼くようになっていました。特に、下の歯のうちの、左側の奥から数えて2番目の歯の痛みが始終気になっていました。鎮痛剤があまり効かないと感じていたこともあり、仕事も気になっていましたが、インターネットや電話帳で歯科医院を探し始めました。そして、自宅近くの医院に電話をかけ、受診の予約を取りました。 どんな症状段階で歯医者に行ったか 下の歯のうちの、左側の奥から数えて2番目の歯が1日中疼くようになり、仕事はもちろん、食事時にテレビを見ている時にも気になるようになっていました。この段階で、自宅近くの歯科医院に行きました。 どんな検査をしたか 1.直接目で歯を診てもらう 歯の表面の様子や歯並びなどを診てもらえます。むし歯が進んでいると、歯の表面が黒ずんでくるようです。 2.レントゲン検査 衛生士の方に案内して頂き、検査室に入り、指示通りに検査を行います。スタッフの方が案内してくださいますので、その指示に従ってください。 3.口の中を直接ポラロイドカメラで撮影 診察台の上で口を開けた状態で、衛生士や助手の方に、口の中を直接ポラロイドカメラで撮影されます。大きく口を開けるように促される上に数枚撮影されるので、撮影後、人によっては少し顎が疲れたように感じるかもしれません。 4.顎の動きを見る検査 顎の動きを感知する機械をつけ、早口言葉を読んだり、ガムをかんで、顎の動きを検査しました。衛生士の方にパソコン画面に映し出された自分の顎の動きを描いたグラフを見せてもらいながら、噛み合わせについていろいろと説明をしていただきました。 これは保険外の検査です。著者の場合は、先生に噛み合わせを疑われたために受けるように言われて受けました。詳しくは担当の先生のご指示に従ってください。 5.歯周病の検査 診察台の上で口を開けると、衛生士(または医師)の方に、歯と歯肉の境目に器具を差し込まれます。歯の1本1本を調べていきます。著者の場合はかなり痛い思いをしました。歯周病がひどいと歯肉から血が出ます。検査をする人によってはまったく痛くないようにしてくださる方もいます。 歯医者からのアドバイス むし歯と歯周病があり、噛み合わせも痛みの原因の1つとしてあると告げられました。治療計画の紙を渡していただき、むし歯はつめること、そして歯周病の治療、さらに歯磨きの仕方の指導も受けるという治療を勧められました。 治療の痛みについて むし歯の部分を削る時に少し痛みを感じた程度でした。…
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歯根の膿/根尖病巣(こんせんびょうそう)の8つの症状と治療法

虫歯をそのままにしたり、根の治療がうまくいかないとできるのが根尖病巣です。根尖病巣は症状がなく進行することが多く、急に歯茎が腫れたり、痛みが出たりする病気です。しかし、実は根尖病巣は歯だけでなく、副鼻腔や顎の骨、手足にも症状が出ることがあるのです。今回は根尖病巣で起こる8つの症状と治療法をお伝えします。ぜひ参考にしてください。 1.歯の根尖病巣(こんせんびょうそう)とは 歯の根の先にできる膿の袋のことです。歯の神経が死んでしまうと、神経が腐って細菌が増えます。硬い歯に囲まれているため自然に治ることができず、根の先から細菌や毒素を骨の中に出します。この細菌や毒素によって骨が溶かされ、根の先に膿の袋ができた状態を根尖病巣と言います。また、歯根嚢胞(しこんのうほう)と呼ばれることもあります。 2.根尖病巣の症状 2−1.症状もなく知らぬ間にできることが多い 根尖病巣の多くは症状がなく、徐々に大きくなります。歯医者でレントゲンを撮った時に指摘されることも多い病気です。レントゲンを撮影した時、根の先に丸く黒い部分が見えると根尖病巣の可能性があります。 2−2.歯茎におできのような膿の出る穴ができることがある 根尖病巣の中の膿が溜まると、歯茎に白いおできのような穴を作って膿を出します。このおできのようなものは出来たり、治ったりを繰り返します。痛みや腫れは出ないことが多いですが、口臭や口の中のネバネバ感があります。詳しくは「歯茎にできた白いできものの正体と治療法」を参考にしてください。 2−3.噛むと痛い 根尖病巣がある歯で噛むと違和感や痛みを感じることがあります。歯の根の周りには噛んだ時に硬いものや軟らかいものなどを判断する歯根膜(しこんまく)というものがあります。根尖病巣によって歯根膜に炎症が移ると噛んだ時に痛みとして感じます。 2−4.急に歯茎が腫れる 根尖病巣は急に腫れを伴うことがあります。体の抵抗力が低下した時に腫れが強くなります。根尖病巣による腫れは顔の形が変わるくらい大きく腫れたり、口が開かなくなることもあります。詳しくは「歯茎が腫れた時、自宅でできる応急処置と治療法」を参考にしてください。 2−5.歯の周りの骨が溶かされ歯が揺れる 根尖病巣によって歯の周りの骨が溶かされ、歯がグラグラしてくることがあります。歯は歯の周りの骨によって支えられています。根尖病巣が大きくなると歯を支えている骨が溶かされ、歯が揺れてきます。また、より大きくなると周りの歯まで揺れてくることがあります。 2−6.上顎の根尖病巣は副鼻腔炎の原因になる 上顎の奥歯の根の先は副鼻腔の近くにあります。根尖病巣が大きくなると副鼻腔に入り、細菌が感染して副鼻腔炎になります。副鼻腔炎になると歯の痛みや頭痛、口臭、鼻づまりなどが起こります。詳しくは「歯性上顎洞炎になる7つの原因と治療法/激痛や頭痛も引き起こす」を参考にしてください。 2−7.下顎の根尖病巣は骨髄炎になる 下顎の根尖病巣が大きくなると骨髄に細菌が感染し、骨髄炎になることがあります。通常は体の免疫細胞などが骨髄まで細菌が侵入しないように防御しています。体の抵抗力が下がった時や根尖病巣があまりにも大きくなってしまった場合は骨髄炎になることがあります。骨髄炎になると入院し、点滴で抗生物質を体に入れる必要があります。 2−8.手足に湿疹が出ることもある 根尖病巣にある細菌は血液を介して全身に回ります。根尖病巣内にある細菌がアレルギー物質となり、手足に湿疹ができる掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)になることがあります。掌蹠膿疱症は金属アレルギーによってもなることがあります。 3.根尖病巣の治療法 3−1.歯の根の治療の根管治療(こんかんちりょう)をする 根尖病巣の治療には初めに歯の根の治療である根管治療を行います。神経が死んでしまった歯の根の中には、血液が流れていないために体が自然に細菌を取り除くことが出来ません。感染してしまった神経の繊維や歯の一部を削り取って、再び細菌が感染しないように薬を詰めます。詳しくは「歯の寿命はこれで決まる!歯の根の治療の根管治療と全情報を大公開」を参考にしてください 3−2.根の先を切断する歯根端切除術(しこんたんせつじょじゅつ) 歯の根の中は複雑で根管治療では治らないことがあります。根管治療で治らない根尖病巣は歯茎の方から切って、外科的に根尖病巣を取り出す歯根端切除術を行います。歯根端切除術は根尖病巣の切除、根の先の一部の切除、根の先に蓋をする3つの処置を行います。詳しくは「歯根端切除術/根の治療では治らない膿の袋を取り除く」を参考にしてください。根管治療機器 3−3.歯根端切除術+歯の再植術 歯根端切除術は前歯や上顎など骨が薄い部分でしか出来ません。下の奥歯は骨が厚く、歯茎から根尖病巣を取り除くことができないために、根尖病巣がある歯を1度抜歯し、根尖病巣を取り除き、戻す再植術を行います。 4.根尖病巣の原因 4−1.虫歯が進行すると根尖病巣ができる 虫歯が進行すると歯がしみたり、痛みが出たりします。その症状は一旦収まります。その後神経があった管を通り、細菌が歯の根の周りの骨を溶かし、根尖病巣ができます。…
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歯科治療無料でも虫歯なくならず、ノルウェーでは18歳以下は無料でも問題あり

ノルウェーでは、18歳以下の人は無料で歯科治療が受けられるが、それでも18歳時点で4分の1の人が奥歯に未治療/治療・抜歯済の深い虫歯を持っていた。 なかなか虫歯を根絶するのは難しいようだ。 18歳の1900人近くを調査 ノルウェー北極大学(トロムソ大学)の研究グループが、北欧の歯科協会/学校が後援する歯科学論文誌アクタ・オドントロジカ・スカンジナビカのオンライン版で12月22日に発表した。口腔模型 ノルウェーでは18歳以下の人は無料で歯科治療が受けられる。 研究グループは、ノルウェー北部のトロムス県で無料歯科治療を受けた18歳の人1876人を対象に、奥歯の虫歯状況と背景データとの関係を調べた。 性別、診療所の位置、病歴、未治療/治療済/抜いた虫歯の数などである。 「重症」の虫歯が4分の1 その結果、およそ4分の1(488人)が少なくとも1本の奥歯に深い未治療の虫歯、深い治療、神経を抜いて充?する治療(根管充填)、抜歯のいずれかがあり、合計で848本だった。 70%は治療済みだった。 一方で、4%は深い未治療の虫歯。残り4分の1以上が根管充填か抜歯の対象、いわば「重症」の虫歯だった。 無料の歯科治療が受けられるにもかかわらず、被験者の4分の1以上で少なくとも1本の奥歯に深い未治療/治療・抜歯済みの虫歯があるという結果。 虫歯は意識的に検査しないと問題が見過ごされてしまうというわけだろう。日本でも注意したいところだ。
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歯が根だけ残る「残根(ざんこん)」とは?

あなたは歯の形をしていない歯をご存知ですか? 歯として機能するための歯の頭(歯冠)部分が虫歯などで溶けてなくなり、根だけ残っているような歯です。これを「残根(ざんこん)」と言います。今回は残根についての説明です。 歯科レントゲン-よくある残根になる3つのパターン 残根 歯の頭(歯冠)が完全に溶けて根だけがある ■虫歯の放置 虫歯になっても治療せずに放置していると、次第に虫歯が歯の頭(歯冠)を溶かして残根になります。 ■治療の途中放置 まれに病院嫌いの人から「とにかく痛みだけなくして欲しい」と頼まれることがあります。そして痛くなった歯の神経を抜いた後、最後まで治療しないでそこで来院がストップしてしまうケース。 歯の外側のエナメル質は虫歯の進行が遅い反面、内部の象牙質はエナメル質に比べて柔らかく、内部で虫歯が広がりやすい性質があります。神経を抜く時の穴が開いたまま内部が露出したままになると、虫歯の抵抗力の弱い内部の象牙質から虫歯が進行して、1~2年で残根状態になることがあります。 ■かぶせたものが外れた場合 歯にかぶせたものの周囲から内部に向かって、歯ぐきと同じ高さで虫歯が進行。かぶせものが外れるとすぐに残根状態になります。また差し歯など土台ごと外れてしまった場合も、残根状態になることがあります。 残根(ざんこん)の治療方法 ■歯にかぶせものを作る 残根になると歯の内部の神経がすでにダメになっているか、過去に神経を抜いてあることが多いので、歯の神経を残すことができません。歯の神経を抜いた穴に金属などの土台を差し込み、その上にかぶせものを作って歯の形に戻します。 ■抜歯 根が短い、ヒビが入っている、虫歯が歯ぐきよりもかなり奥に進行しているような場合は、残根の周囲の歯ぐきが炎症を起こしていたり、短すぎて土台の金属を差し込めなかったりします。そのため抜歯になることもあります。 ■残根のまま保存 高齢者などの疾患、飲んでいる薬(骨粗鬆症の薬、抗凝固剤など)の種類によっては、抜歯や治療にリスクが伴うことがあります。このため症状がひどくなければ、リスクを回避するため抜歯せずにそのままにすることもあります。 ■蓋をして入れ歯の下に置いておく 残根の表面に高さ2~3mmのドーム状の蓋を作ります。この上に入れ歯を装着します。通常入れ歯は歯ぐきが噛む力を支えますが、ドームを入れ歯の下に置いておくことで、残根が柱の役割となり、歯ぐきで支えるよりもしっかり感が増します。 残根の注意点 残根は歯が根だけしか残っていないため、一般的に機能を回復させるための治療の難易度が高く、治療の時間や回数が多くなる傾向があります。状態が悪ければ抜歯につながることもあり、歯の寿命で考えると、すでに後半にあると考えられます。 虫歯を放置して残根になってしまった場合には、たとえ治療で元に戻ったとしても、早期発見で治療した虫歯に比べて歯としての寿命が短くなりやすいのです。 さらに汚れた残根の表面にはたくさんの虫歯菌や歯周病菌が付着しています。痛みがないからといって治療せずに放置していると、その菌が他の健康な歯に影響を与えることも考えられるので注意が必要です。
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歯の喪失の原因

歯を失う二大原因はむし歯と歯周病で、その割合は同じくらいです。一般的に歯は奥歯から失われる傾向にあり、比較的若いうちはむし歯で失われる場合が多いのですが、残った歯が少なくなるにつれて歯周病で失われる歯が多くなります。喪失に至るリスクの高い歯は、未処置歯のむし歯・クラウン(冠)装着されている歯・部分義歯の針金がかかる歯(鈎(こう)歯)・歯周疾患が進行している歯などです。 twitterでシェアする facebookでシェアする 歯の喪失を防ぐためには、どのような原因で歯が失われていくかを知る必要があります。ここでは抜歯直前の状態に関する調査や追跡調査から得られた主な疫学的知見を紹介します。 抜歯の原因は? ほとんどの歯は歯科医院での抜歯処置を経て喪失に至ります。歯周病が進行して歯がグラグラになり自然に脱落する歯もありますが、歯が失われる場のほとんどは歯科医院と考えて差し支えないと思います。そこで歯科医院で抜歯される歯の直前の状態を調べることにより、歯が失われる原因を明らかにすることができます。 【図1】は2005年に全国2000余の歯科医院で行われた全国抜歯原因調査結果です(円グラフは全年齢、棒グラフは年齢階級別)。歯が失われる原因で最も多かったのが「歯周病」(42%)で、以下「むし歯」(32%)、「その他」(13%)、「破折」(11%)、「矯正」(1%)の順でした。このうち「その他」は大半が智歯(親知らず)の抜歯で比較的若い時期に抜歯されます。また「破折」の多くは、外傷など物理的に非日常的な大きな力が作用したものではなく、無髄歯(神経をとった歯)と考えられるので原因は「むし歯由来」とみなすことができます。 抜歯原因を年齢階級別にみますと、「歯周病」と「破折」による抜歯は中高年、「その他(多くが智歯)」と「矯正」は若い年代に多く、「むし歯」はどの年齢層でも多くなっています。 どの歯が喪失しやすいか? 全国抜歯原因調査と同じ年に行われた歯科疾患実態調査による歯ごとの喪失状況を年齢階級別にみると、全体的に歯は奥歯から失われる傾向にあり、上あご(上顎)よりも下あご(下顎)で顕著です【図2】。たとえば下顎の第一大臼歯(六歳臼歯)に注目すると、50歳前後(45~54歳)で既に4分の1が失われています。奥歯が失われると、その前方にある歯は噛み合わせを支持する力が弱いので、よりオートクレーブ失われやすくなるという悪循環を生んでしまいます。いわゆる「出っ歯」の多くは、もともと歯並びが悪い場合もありますが、その多くは歯周病で奥歯が失われて前歯にかかる負担が大きくなったために、歯が傾いてグラグラの状態になってしまった場合が多いのです。 喪失リスクの高い歯とは? 今までに行われた疫学研究をまとめますと、以下のような歯は喪失に至るリスクが高いことがわかっています。 未処置歯のむし歯 クラウン(冠)装着されている歯 部分義歯の針金がかかる歯(鈎歯) 歯周疾患が進行している歯 なおこのうち「クラウン(冠)装着されている歯」は、この治療法そのものが喪失を高めるということではありません。この治療が施された歯は、無髄歯(神経をとられた歯)である場合が多いため歯の根の先(根尖(こんせん)部)に病変が残っていたりする場合が多い抜歯鉗子ためです。むし歯が進んで神経をとったり(抜髄)・根の治療(根管治療)が行われるようになると、歯は相当のダメージを受けたことになります。このような状態に至らないようにすることが、歯の喪失を防ぐうえで非常に重要といえます。
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