Archives for August, 2015

歯肉炎の症状や原因・診断と治療方法

歯周組織(歯肉、セメント質、歯槽骨(しそうこつ)および歯根膜(しこんまく)、図30)のうち、歯肉に炎症が限局してみられる場合を歯肉炎といいます。歯肉炎は、プラーク(歯垢(しこう)ともいう)によって発症するものが大部分ですが、ホルモンの変調によって起こるものや服用薬物の副作用によって起こるものもあります。 プラークがたまりやすい環境やプラークを除去しにくい因子(歯石、大きなむし歯、古くなった詰め物や冠など)、病状を悪化させる全身的な因子(口呼吸、血液疾患など)などが、複雑に絡み合って炎症が進行します。 一般的に経過は慢性に進行しますが、急性に起こることもあります(急性壊死性潰瘍性(えしせいかいようせい)歯肉炎)。 ●プラークによる歯肉炎(しにくえん) 歯肉炎とはどんな病気か 口のなかにすんでいる細菌(口腔常在菌(こうくうじょうざいきん))がつくるプラークが主な原因です。口腔常在菌は、皮膚や腸内にいる常在菌と同様に、健康な人の口のなかにもすんでおり、通常は病原性を発揮しない状態でバランスがとられています。 しかし、歯みがきを怠ったり、砂糖がたくさん入った食べ物を頻繁にとることによって、細菌が増殖しプラーク量が増えてバランスが崩れると、歯肉に炎症が起きます。プラーク中の細菌全体の病原性、すなわち非特異的な細菌によって起こる感染と考えられています。 プラークは、歯ブラシの届きにくい歯と歯の間や歯肉の縁にたまり始め、歯肉に炎症が起きます。歯と歯肉との間の溝は深くなり、ポケットができます(歯肉ポケットあるいは仮性ポケットともいう)超音波クリーナー 激安。 しかし、細菌それ自体が歯肉中に侵入して炎症を起こすというより、細菌が産生する酵素や毒素が直接歯肉に影響したり、これらの侵入を防ぐ体の防御反応が自己破壊的に作用して、炎症が進展していくと考えられています。 症状の現れ方 「なんとなく歯ぐきがむずがゆい」「リンゴを噛んだり、歯みがきすると血が出る」などの症状が現れます(表3)。 鏡で歯ぐきを見ると、赤くなっている部分やはれぼったくなっている個所があることに気づくでしょう。この部分を指で押すと、ぶよぶよしており、指に血がつくこともあります。しかし、一般にこれらの症状は軽度で、痛みを伴わないことが多いので、治療を受けずに放置しておく人が少なくありません。 治療の方法 歯肉炎の段階で歯科医を訪れ、早期に適切な口腔衛生指導を受け、生活習慣の改善に努めることが大切です。より重症な歯周炎になることを予防できるだけでなく、正常な状態に治ることも期待できます。 ●思春期(ししゅんき)にみられる歯肉炎(しにくえん) 歯肉炎とはどんな病気か 思春期(11〜14歳ころ)になると歯肉の炎症が悪化し、歯肉はより赤くなり、ぶよぶよし、出血しやすくなることがあります。とくにこの傾向は、女子に多くみられます。 女子の場合、思春期になると血流中に女性ホルモンのうちエストロゲン(卵胞ホルモン)の一種であるエストラジオールやプロゲステロン(黄体ホルモン)などが増え、歯と歯肉の間にある溝(みぞ)(歯肉溝(しにくこう))から出る滲出液(しんしゅつえき)中にもこれらの女性ホルモンがみられるようになります。ここにすんでいる歯周病原細菌のうち、プレボテラ・インターメディア、プレボテラ・ニグレセンスなどが性ホルモンを栄養源として発育し、これらの細菌が増えることで炎症が悪化するのです。 思春期のすべての子どもたちの歯肉に炎症が起こるわけではありません。思春期になる前から歯肉炎があった子どもたちの歯肉炎が悪化します。 歯肉に炎症がなければ、思春期になっても歯肉は健康状態を維持することができるので、心配はいりません。思春期が過ぎれば炎症はある程度軽減しますが、完全に治ることはありません。 治療の方法 治療の原則は、プラークコントロールを基盤とした早期発見、早期治療です。学校歯科医やかかりつけ歯科医のもとで、早めに適正な口腔清掃指導や生活習慣を改善するための指導を受けたり、歯石がある場合は取ってもらいましょう。 定期口腔検査が必要なことはいうまでもありません。 ●妊娠時(にんしんじ)にみられる歯肉炎(しにくえん) 歯肉炎とはどんな病気か 妊娠2〜8カ月の間に、歯肉の炎症が悪化することがあります。このことは、前項の思春期にみられる歯肉炎と同様のメカニズムによって起こると考えられています。 エストロゲン(卵胞(らんぽう)ホルモン)やプロゲステロン(黄体(おうたい)ホルモン)の影響で、もともとあった歯肉炎や歯周炎が悪化します。子どもと違い妊娠可能な女性では、年齢的にみても歯肉炎から歯周炎に進行していることもあるので、妊娠前から歯肉の健康維持に努めることが大切です。 まれに、歯肉が数歯に限局してはれて、妊娠性エプーリスがみられることもあります。妊娠自体が原因ではなく、プラークが主原因であることから、妊娠中はとくにプラークコントロールに配慮するとよいでしょう。 妊娠中の女性に重度の歯周炎があると、プラーク中の歯周病原細菌の影響で、早産や低体重児出産が起こると報告されています。…
Continue Reading

【頭蓋骨は語る】乳歯が抜ける前の子どもの口の中が衝撃的にヤバすぎる!

乳歯のことを英語では「milk teeth」という。なんとも愛らしい響きであるが、だが、その天使のような子どもたちの乳歯が生え変わる時、口の中で一体何が起こっているかを知る人はあまりいないのではないだろうか? 見ないですむなら、見なかったほうが良かったような――。 【その他の画像はコチラ→】 ■乳歯が抜ける前の"準備万端"な顎の骨 オーストラリアの子育て情報サイト「BellyBelly」によると、2歳~8歳の子どもたちの頭蓋骨をチェックすると、トンデモない光景を目撃することがわかった。 なんということだろう、まるでマシンガンの弾倉とでもいおうか。引き金を引いたら飛び出しそうな"準備万端感"がハンパないのだ。実に無駄なく、精密に人体が構成されていることがよく理解できる画像だが、それにしても生理的に受けつけない! これを見てゾッとする人も多いのではないだろうか。 歯科医や歯科衛生士さんたちは、こんなグロい写真を直視しながら日夜修練を積んでいるのだから、頭がさがる。 筆者の知人の検死官は、研修中に「ソーメン」がまったく食べられなくなったと言っていたが、歯科医療関係者も同様なのではないだろうか。聞くところによると、マイクロモーター歯科「肉」全般が食べられなくなるというらしい。 通常、乳歯は全部で20本あり、生後6カ月頃から生え始め、3歳頃までに生え揃う。その後、6歳頃から永久歯への生え変わりが始まり、最終的には12歳頃までに合計32本が生える。 そうした過程のなか、成長期の子どもたちは、その無邪気な笑顔の下で二段構えの歯並びをもっているということだ。 さらに余談になるが、筆者は人より歯の総数が少ない、いわゆる「すきっ歯」だ。しかもいい年をして、犬歯のあるべきポジションに、いまだ乳歯が2本残っている。おかげで"若く見える"というメリットはあるものの、子どもの頃はレントゲンを撮っても永久歯が写らなかったため、「自分は欠陥人間だ」と傷ついていた記憶がある。いくつになっても歯のトラブルは尽きないものだが、やはり歯の数は"多からず、少なからず"がよろしいようで。
Continue Reading

原因は「虫歯」だけじゃない!? 歯の痛みはなぜ起きるの?

てっきり虫歯による歯の痛みだと思って歯科に行ってみるものの、異常ナシ……。ではこの痛みの原因は一体、なんなのでしょうか? 今回は、虫歯以外が原因で生じる歯痛について、医師に聞いてみました。 歯の痛みの原因は、虫歯だけじゃない! 通常、歯の痛みは、虫歯や知覚過敏、歯肉炎や歯槽膿漏など、歯やその周囲の歯肉など口のなかの原因によって生じます。しかし、これらが原因でないこともあります。それを「非歯原性歯痛(ひしげんせいしつう)」と呼びます。 歯痛の原因はさまざま! では、虫歯以外にどのような原因が考えられるのでしょうか。歯科用エアーコンプレッサー ・頭部や口の上の感覚に関わる神経である三叉神経による三叉神経痛や、口のなかの知覚に関わる舌咽神経が原因となる舌咽神経痛などがあります。これらは電気がはしるような、つんとするような痛みが起こります。 ・帯状疱疹といって、小さい頃などにかかった水ぼうそうのウイルスが、疲れや病気など免疫力が落ちることで、再び勢いがでることで起こる神経の痛みがあります。 ・咬筋や側頭筋といった、あごを動かす筋肉や筋膜が影響して、歯や歯肉に鈍い痛みがでることがあります。 ・偏頭痛や群発頭痛といった血管の作用に関連するといわれる頭痛でも歯の痛みがでます。 ・顔には、副鼻腔という空洞があります。副鼻腔炎などでこのなかのひとつである上顎洞に炎症が起きると、歯が痛むことがあります。この場合は、耳鼻科で治療が必要です。 ・うつ病や不安障害、統合失調症などといった精神疾患によるもの ・狭心症や心筋梗塞など、心臓から歯の痛みが起こることがあります。急に痛みが起こり、その程度が激しかったり苦しいなどがあれば、早めに受診する必要があります。 医師からのアドバイス 歯の痛みにはさまざまな原因がありますが、それぞれ原因となる疾患を治療することが必要となります。そのため歯科医院だけでなく、内科や耳鼻科、疑われる場合には精神科や心療内科に受診する必要があります。
Continue Reading

永久歯が生えない子もいるの!? 歯科医師が教える「乳歯を徹底ケアすべき」理由

お子さんの乳歯のケア、大丈夫ですか? 子どもが嫌がったり、時間がなかったりで、意外とおろそかになっているかもしれませんね。 さらには、「永久歯に生え替わるから大丈夫」と油断している人も、一部にいるかもしれません。しかし、実はまれに“永久歯の生えてこない乳歯もある”ことをご存じでしょうか? その場合、子どもは乳歯を自分の永久歯として、大事にしながら生きていかなければなりません。そうなると、乳歯のケアは、子どもの将来のためにとても重要なことですよね? そこで今回は、富山県の小矢部市で渡辺歯科医院の院長を務める渡辺智良先生に、“永久歯の生えてこない乳歯の話”について教えてもらいました。歯科医療機器 ■いつまでも生え替わらない歯は永久歯がない場合も そもそも永久歯とは、どうやって生えてくるのでしょうか? 渡辺先生に聞いたところ、 「歯は歯胚といって、顎骨の中で歯の卵のようなものが形成されて誕生します。その歯胚がカルシウムやリンなどのミネラルを吸収しながら成長し、最終的には大人の歯になります」 とのこと。その新しい大人の歯が、下から乳歯を押し上げていくのですね。しかし、 「永久歯の元となる歯胚が何らかの原因で形成されないことがあり、永久歯が生えてこない場合があります。その状態を“先天性欠如”と言います」 つまり、子どもの歯に大きな虫歯ができて、「どうせ生えてくるんだから、抜いてしまってください」と、レントゲンも撮らずに歯医者さんに抜いてもらった場合、万が一“先天性欠如”だったら大問題。もう二度と歯が生えてこない、ということですね。 先天性欠如のために歯の並びにすき間ができた場合は、 (1)矯正治療(で隙間を埋める) (2)ブリッジ (3)入れ歯 (4)インプラント (5)親知らずの移植 など、大掛かりな対策が必要になるそう……。金銭的にも大きな負担ですし、子どもの心身にも負担です。 渡辺先生いわく、 「日本小児歯科学会学術委員会がまとめた2010年の論文では、上顎に先天性欠如がある頻度は%,下顎に先天性欠如がある頻度は%」 と分かっているとか。それほど高い確率ではないですが、完全に無視していいほど低い割合でもないですよね。 ■乳歯のケアは永久歯も守る また、乳歯の徹底ケアは、万が一永久歯が生えてこなかった場合に備えて行うだけではありません。 『WooRis』の過去記事「どうせ生え変わるから…はNG!“乳歯の虫歯を放置”しちゃダメな理由とは」の内容の通り、乳歯の虫歯を放置すると、その下に生えてくる永久歯の成長が邪魔されたり、永久歯が変形したり、もろくなってしまったりするのです。 乳歯の虫歯による悪影響で変質してしまった永久歯を、“ターナーの歯”ともいいます。 「どうせ生え替わるから」と軽く考えるのではなく、 (1)歯科検診を定期的に行う (2)正しいオーラルケアを欠かさない(歯間ブラシは必須) (3)虫歯があれば早目に治療する を心掛けて、乳歯を守ってあげたいですね。特に乳歯は永久歯と違って弱いので、大人のサポートが不可欠です。 以上、“永久歯の生えてこない乳歯の話”を紹介しましたが、いかがでしたか?…
Continue Reading

口内炎はいじらない!口内炎体験談

はじめに 著者は27歳の女です。しょっちゅう口内炎は発症しますが、病院にかかる程酷くなったのは2年程前の25歳の時でした。 口内炎はとにかく痛いです。口の中なので体の他の部位よりは治りが早いですが、油断しているとまた同じ部分を傷つけてしまうのも難点です。 経験したことのある口内炎の症状 著者は摂食障害を患っており、食べないことが続いたり、食べたものを吐き出してしまうことがほとんど毎日続いています。 口内炎を発症したのは夕食を食べている時でした。熱いスープを飲んだ後、上顎の奥に水膨れができたような違和感がありました。鏡を見てみると3つ、豆粒大の大きな血豆のようなものができていました。息をするのも辛いくらいで、唾を飲み込むたびに刃物でえぐられているような鈍い痛みを感じました。歯科 口腔内カメラ 摂食障害は心の病です。食べた物を大量に食べて自発的に吐き出してしまう過食症、食べ物を全く食べないか低カロリーのものしか食べられなくなる拒食症に大別されます。どちらも過去・現在・未来に対する不安から発症することが多く、食べ物に対する不安が形となって表れるのが特徴です。 医師の診断とその後の症状 あまりに痛かったので、翌日すぐに耳鼻咽喉科に行きました。特別な検査はありませんでしたが医師に口の奥を診てもらい、以下のように診断されました。 基本的にはできることはない 血豆をどうにか取ろうにも、動脈が通っている部分なので切除なんてもっての他だ 摂食障害ということならとりあえず吐いたりするとますます酷くなるので、頑張って食べること ということでした。 医師によっては専門外の病気に関して「頑張れ」と一言で済まされてしまうことがありますが、心の病を併発している場合はかかりつけ医に診て貰った方が良いです。 その後は摂食障害の治療で通っている大学病院の心療内科で診て貰い、内服薬のトランサミンカプセルという薬を処方して貰いました。 自分で何種類か市販のスプレータイプの口内炎の薬も買いましたが、どれも口に残るような味が気になって具合が悪くなってしまったので使わず終いになってしまいました。 基本的には大学病院で処方されたトランサミンカプセルだけを飲んで、患部をいじらないようにしました。また、なるべく睡眠をしっかりと取るようにしました。 トランサミンカプセルは患部の炎症を鎮める薬です。口内炎専用の薬ではありません。 おわりに 口内炎になった時は早く治したいと思うあまり、患部をいじってしまうものです。しかし著者の経験から言うと、患部の皮を剥がしたりすると何もしない時よりも治りが遅い気がします。 口内炎に関してはいじらないのが一番の治療かもしれません。
Continue Reading

歯科医が指南。歯磨きは3分以上しないと意味が無い!?

突然ですが皆さん、歯磨きは得意ですか? 「得意も何も、毎日歯を磨くのは当たり前でしょ」なんて声も聞こえてきそうだが、実は筆者は歯磨きが大の苦手。理由は奥歯を磨いているときや口の中に泡が溜まったときに軽く吐き気を催すからなのだが、歯磨きにあまり時間を掛けたくないのが本音だ。 一体皆はどれくらい時間を掛けているのか疑問に思い、「おしトピ by 教えて!goo」の「歯磨き、1回何分ぐらいしてますか?」という質問を覗いてみた。 多かったのは「3~5分」という回答だが、かなり個人差が大きく、「何秒とかの世界」(デメタンさん)という人から、「朝晩録りためた映画を観ながら1回30分かけて念入りに歯磨きしています」(chika1o22さん)なんていう人も! また、「10分以上。テレビを見ながら一本ずつしっかり磨きます」(biscotteさん)のように「ながら磨き」や、「微量な電気が流れる歯ブラシとかで磨いています。たまに重曹などでうがいなどもしています。たまに音波ブラシで寝る前に磨くと明け方の口のネバつきがすごく少ないですねぇ」(パンプさん)など、さまざまなグッズを用いて歯を磨いているというコメントも多数寄せられた。 ■歯磨きに必要な時間は最低3分! 最低でも、歯磨きは何分以上する必要があるのだろうか。歯科医師の小谷田先生にお話を伺った。 「お口の中の状態や歯列、生活習慣によってブラッシングする時間は異なりますが、一般的に最低でも3分は必要だと思われます」(小谷田先生)歯科診療ユニット あまり短すぎると歯の汚れをしっかり落とせないので、3分という時間は守りたいもの。しかし、長ければ長いほど良いのかといえばそういうわけでもなく、 「長時間磨いても、しっかり汚れが落ちていなければ意味がありません」(小谷田先生) と話す。一回一回の歯磨きを疎かにしたり、きちんと磨いているつもりでも正しい方法で磨けていなければ時間が無駄になることに。それどころか、落としきれなかった歯垢(プラーク)が虫歯や歯周病、口臭を悪化させるので注意が必要だ。 「一人一人に合ったブラッシング方法や歯ブラシの種類がありますので、ドクターや衛生士さんにブラッシング指導を受けてみてはいかがでしょうか」(小谷田先生) 子どもの頃は学校などで正しいブラッシング方法を習うものの、いつのまにか自己流になっている人が多いのでは? 大事なのは、量より質。定期的に歯科医院でクリーニングをしてもらえば、戒めにもなり良いのではないだろうか。 ●専門家プロフィール:小谷田 仁(こやた ひとし) 医療法人社団審美会 青山審美会歯科矯正クリニック院長。日本歯科大学卒業後、アメリカのハワード大学・矯正科大学院に入学。矯正の専門医の資格取得後、同大学大学病院歯科矯正科での勤務を経て帰国。舌側矯正を日本で初めて臨床に取り入れ、症例数は4000件を超える。
Continue Reading

8020ヨーグルトとお口の健康!

お口の中のばい菌・・・とプロバイオティクス ヒトの口の中(口腔内)には、多種類の微生物、通常700~800種類の微生物が生息しています。これを口腔内微生物叢、またはオーラルフローラ(oral fl ora;口の中のお花畑の意味)と呼びます。口腔内に存在するオーラルフローラは、すべて病原微生物で構成されているわけではありません。確かに、オーラルフローラには、生後6ヶ月くらい、すなわち歯の萌出前後に水平(垂直)感染すると考えられているミュータンス菌や、その他の歯周病原細菌などのような、いわゆる病原微生物とされるものも存在しており、さまざまな口腔疾患や全身への感染などを引き起こすことが知られています。しかしこのような病原微生物以外に、たとえば出生時産道から口腔内保菌されるとされているカンジダなどの日和見菌や、oral commensalと呼ばれるヒトと共生することができる微生物もオーラルフローラを構成しています。お口の中では腸内と同じようにいわゆる悪玉菌と善玉菌が混在して、お互いに縄張り争いをしています。そういうところに善玉菌を入れることでむし歯や歯周病になりにくくできないか・・・そう!お口にもプロバイオティクスを応用できないかといい菌を探すことにしました。 お口の中で菌たちは縄張り争いをしている→善玉菌を増やすことで、悪玉菌を減らそう! 強い善玉菌を探そう! 昔、歯科診療をするため、ある病院に行っていましたが、そこの入院患者さんで十分な歯磨きができていないにもかかわらず、むし歯になったことのない方がおられました。このようにむし歯のないヒトの場合、①唾液の性質が良い、②歯が強い、③むし歯菌がいない、ことが考えられますが、ひょっとするとこのような人の口の中には、むし歯菌に対して抗菌効果の非常に強い乳酸菌がいるのではないかと考え、むし歯になったことのない人から唾液を集めて、そこから乳酸菌を42菌株集めました。その中で歯周病菌、むし歯菌そしてカンジダ菌に高い抗菌性を持ったLactobacillus rhamunosus(L8020 )菌を見つけました。 8020ヨーグルトの効果 このL8020菌を使って作った8020ヨーグルトとプラセボヨーグルト(効果のないヨーグルト)を学生50人で2週間食べてもらい検証した(Randamized clinical trial; ランダム化臨床試験の)結果、口腔内のミュータンス菌は平均83%減少し、代表的な歯周病菌4種類を40~95%減らしました。現在、L8020菌が出す抗菌物質には、歯周病菌の(内)毒素を不活性化する作用があることも分かって来ました!歯科医療機器 歯磨きが困難な人や、人よりもむし歯・歯周病になりやすくて困っている人などの一助となればと思っています。ただ、あくまでブラッシングがプラークコントロールの基本ですから忘れないでください!
Continue Reading

悪性虫歯が急増!『ためしてガッテン』で歯を守る新常識を紹介する

2月11日(水)放送の『ためしてガッテン』(NHK総合 毎週水曜 20:00~20:43)で、ゲストに清水ミチコ、志垣太郎、山瀬まみを迎え、今急増中の厄介な「悪性虫歯」を特集する。 同番組では、ふだんの生活の「なぜ?」「どうして?」について、最先端の科学とユニークな実験で試し、合点がいくまで徹底調査。今回は「歯が抜ける!30代からの悪性虫歯&入れ歯の新常識」を放送する。虫歯も歯周病もないし、ここ数年歯医者には行っていない。実はそんな人こそが要注意だ。この、悪性虫歯は、痛みがほとんどないので油断してると、周囲の健康な歯まで道連れに次々と抜けて一気に歯を失う羽目にもなりかねない。(超音波スケーラー) 一方で、「入れ歯の自分は安心」という人も、歯の土台となる骨やあごが溶けてしまい、入れ歯すら使えなくなるケースもあるという。番組では、歯を守るための新常識を徹底紹介する。
Continue Reading

根管治療の専門医が行っている最新治療法と一般歯科との治療の違い

根管治療をしてもらっているが消毒だけで前に進まない、何度治療をしてもらっても腫れを繰り返してしまうなどいつまでも治らない治療に不安を感じている方も多いのではないでしょうか。根管治療とは歯の神経が死んでしまった根の中を消毒し、長く使うための治療です。しかし、実は根管治療は根管治療専門医が行わないと治る確率がかなり低くなってしまうのです。根管治療専門医では見えない部分を見える状態にして治療を行っているのです。今回は根管治療専門医が行っている最新治療法と一般歯科で行っている治療の違いをお伝えします。ぜひ、参考にしてください。 1.根管治療(こんかんちりょう)とは 根管治療は歯の神経が死んでしまった時、歯の根の中を消毒し、細菌が感染しないように薬を詰めて、神経が死んでしまった後にも歯を長く使っていくための治療です。この根管治療が精密に行われるかで歯の寿命は変わってくるのです。何度も感染し、治療を繰り返せば、歯はもろくなり割れて、抜歯が必要になります。 下のレントゲンでは、根の先に膿が溜まっている黒い部分の根尖病巣(こんせんびょうそう)があります。 根管治療後、黒い部分の根尖病巣が無くなっているのがわかります。 2.根管治療の専門医が行っている最新治療法と一般歯科での治療の違い 2−1.根管を3次元的に診断するCTレントゲン 歯の根の数や形は同じではなく、人や歯によって違います。根管治療専門医では3次元のCTレントゲンを撮影して、複雑な歯の形を正確に診断してから治療を行います。 一般歯科の治療 一般歯科では2次元のレントゲンで歯の根の形を確認します。そのため根が重なっていたり、根が曲がっていたりするとレントゲンでは分かりにくいため経験や勘で治療をしなくてはいけないため治療の精度が下がります。 2−2.マイクロスコープによる超精密根管治療 歯の根の中は細く、暗く通常では見えない部分です。根管治療専門医ではマイクロスコープを使って、歯の根の中の状態を20倍に拡大することができます。今まで見えなかった根の先端まで見ながら治療をすることができるために、精密な治療を行うことができます。 一般歯科での治療 一般歯科では歯の根の入り口の部分だけを見ながら治療をします。根の先端部分までの距離を測る機械を使いながら入り口と距離だけを頼りに治療を進めていきます。そのため汚れが残っていても気付きにくく、何度も消毒を繰り返し、治療期間が長くなってしまうことがあります。 2−3.唾液による感染を防ぐラバーダム 根管治療は歯の根の中を消毒する治療です。根管内に唾液が入り込むと細菌が感染し、より悪化してしまいます。そのため根管治療専門医ではラバーダムというゴムのシートを歯にかけて唾液が歯の根の中に入り込まないようにして治療を進めていきます。詳しくは「歯の寿命はこれで決まる!歯の根の治療の根管治療と全情報を大公開」を参考にしてください。 一般歯科での治療 一般歯科でもラバーダムを使って根管治療をしている歯医者も多くいます。しかし、多くの歯医者ではラバーダムをせず、ガーゼなどで唾液を防ぎながら根管治療を行っているため、唾液が根の中に入りやすい環境で治療をしています。 2−4.歯の再生力が高いMTAセメント MTAセメントは歯を再生させる能力の高い材料です。細菌に感染してしまった根の中の汚れをきれいにしていくと、歯は徐々に短くなったり、薄くなったりします。MTAセメントを使うことによって歯を再生させ、歯を自然に治癒させることができます。 一般歯科での治療 MTAセメントは保険適応外の材料です。材料の費用だけで何万円もするために一般歯科で使うことができない材料です。そのため状態が悪い歯の根管治療は治すことができなく、症状が続いてしまうか、抜歯をするかの選択となります。 2−5.治らない歯根嚢胞は歯根端切除術 歯根端切除術(しこんたんせつじょじゅつ)とは細菌や感染源が歯の根の外に出てしまい、根管治療では治らないため、根の先の一部を切断し、根の先から薬で閉鎖することです。根管治療専門医ではマイクロスコープで確認しながら行うことができ、MTAのセメントで根の先を閉鎖することができます。詳しくは「歯根端切除術/根の治療では治らない膿の袋を取り除く」を参考にしてください。 一般歯科の治療 一般歯科でも歯根端切除術は行うことができます。ただし、マイクロスコープやMTAセメントは使うことができないため、精度が低くなってしまいます。 2−6.再植手術と歯根端切除術 奥歯の歯が根管治療で治らない場合、奥歯は骨が厚いため歯根端切除ができないことがあります。その場合歯を一度、抜歯して口の外で歯根端切除術を行い、再度歯を戻す再植(さいしょく)手術を行います。再植手術の際もマイクロスコープとMTAセメントで超精密治療を行います。 一般歯科での治療 一般歯科でも再植手術を行っているところもあります。ただし、マイクロスコープやMTAセメントは使うことができないため、精度が低くなってしまいます。(根管治療機器)…
Continue Reading

入れ歯で美味しく食べるために~プロローグ~

歯が抜けたままになっていませんか?歯が抜けたままになっていると、抜けた歯の隣の歯が傾いてきたり、抜けた歯と噛み合う歯がのびてきたりして、さらに噛みにくくなります。また、食べることができるものが限られてきて低栄養状態を招くだけでなく、噛み合わせが安定しないため誤嚥性肺炎のリスクが高まったり、身体の運動能力(バランス・平衡感覚等)が低下して転倒のリスクも高まります。そうならないためにも歯の抜けたところは、一般的に入れ歯を入れて補います。 入れ歯を入れてよく噛めるようになると、(歯模型) 栄養状態がよくなる 顔の筋肉のトレーニングになり、顔の表情が整う 脳が刺激を受けて働きがよくなる 唾液がたくさん出て、食べ物が飲み込みやすくなる などの効果があります。 特に「噛むこと」と「脳」の深い関係のカギを握るのが、歯の根っこの周囲を取り巻く「歯根膜」(しこんまく)という組織です。歯根膜は歯を守るクッションの役割をするとともに、歯根膜の中にある神経細胞は歯にかかる力や食べ物の量や硬軟などの情報を精密にキャッチするセンサーの役割を持っています。噛むことによる歯根膜の刺激は脳の中枢に送られ、脳はその情報に基づいて適した噛み方の指導を出しています。例えば硬いものなら回数を多くするとか、噛めなければ飲み込んだり、柔らかいものを要求したりします。しかし、歯が抜けると歯根膜も一緒になくなってしまいます。その時は口の中の粘膜や顎関節などに存在するセンサーが歯根膜の代用として働きますので、歯が抜けたままで放っておかず、入れ歯を入れて脳を刺激することが大切です。(歯科診療ユニット) このように歯が抜けて失われた機能を回復するために重要な入れ歯ですが、「食べることが困難」「味が変わった」などの話をよく聞きます。 いつまでも美味しく食べることは皆の願いです。 入れ歯についての詳しい情報は、今後掲載していきます。
Continue Reading