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義歯を使っておられる方の食生活

歯をなくした方の食事がどのように変化するのかといった研究は、国内外で数多くなされており、おおむね一定の傾向がみられています。 表は、わたしたちが京都府立医科大学看護学科木村みさか先生の研究グループと一緒に行った研究結果です。京都府在住の65歳以上高齢者182名(男性60名,女性122名、平均年齢歳)に対して、BDHQ(Brief Diet History Questionnaire)という過去1ヶ月間にいろいろな食品をどのぐらいの頻度で食べたかを問うアンケート用紙を用いて食物の摂取状況を調査しました(Yoshida M, et al. Geriatr Gerontol Int, 2011) 。その結果を両側の臼歯部の咬み合わせが自分の歯で保たれている方(天然歯群)と義歯により保たれている方(義歯群)に分けて比較したところ、義歯群では野菜の摂取量が少なくなり、一方、菓子類の摂取量が増えていることがわかりました。また、この研究では統計学的には有意な差は出ませんでしたが、海外の多くの報告では果物の摂取量も歯を喪失した方で有意に減少していることが言われています。要するに、歯がなくなると、たとえ義歯を使用していたとしても、硬い食べ物を避けて、柔らかい食べ物を食べようとする傾向があるということです。 栄養素としてみると、いわゆる3大栄養素と呼ばれるタンパク質、脂肪、炭水化物の摂取量に、歯の咬み合わせの状態はさほど関係していませんが、生野菜や果物に多く含まれている食物線維やビタミン類の摂取は自分の歯のかみ合わせを失くして義歯を使っておられる方で、有意に少なくなっていました。歯模型 生野菜や果物はジュースにして摂取してもその栄養素は失われることなく補給できることが言われています。1日1本、野菜や果物ジュースを飲まれてみてはいかがでしょうか?義歯を使われている方にぜひお勧めしたい食習慣です。一方でその時一緒にお菓子を買わないように気をつけて下さい。義歯を使っておられる方はお菓子類の食べすぎにも注意が必要です。お忘れなく。
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歯周病で脱落した歯はどんな義歯で補える?

もしもあなたが歯を失ったら義歯に頼ることになる 歯周病の怖さは何と言っても、進行しきってしまうと根っこからポロっと歯が取れてしまうということです。 一度抜け落ちた歯は二度と元には戻らないし、永久歯であれば二度と生えてくることはありません。歯が抜け落ちると、食べ物を噛めなくなる上に噛み合わせが悪くなって体の調子まで悪くなってしまうのです。 歯周病で歯が抜け落ちてしまったら、義歯で失った歯を補う必要が出てくるのです。 天然自前の歯を補う人工の義歯 入れ歯や差し歯などの義歯は、失った歯の代わりになるもので見た目を決定する審美性や、歯としての機能を果たす実用性を持っています。 昔は動物や人間の歯を持ってきて義歯にしていたため、歯科医療機器唾液で溶けてしまうので消耗品になっていたといわれています。 現在の義歯は身体に負担の少ない金属である金や銀、チタン、強度の高いセラミック、人工樹脂などが使われています。 義歯を入れるとどんなメリットがある? あれこれ健康には気を使うけれども、歯には無頓着という人も結構少なからずいるものです。そういう人は義歯が必要な状態になっても気にしないものですが、抜けた歯を補うために義歯を入れることには多くのメリットがあります。 見た目が良くなる 歯が一本抜けた状態でニッと笑うと、歯列にぽっかりと穴が開いたようになってなんとも見栄えの悪いものです。一本だけならまだしも、二本三本と穴が増えていくとこれはもう漫画のような見栄えになってしまい、みっともなくなってしまうのです。 義歯を入れて失った歯を補うことで、歯列の穴が消えてニッと笑った時の見栄えが良くなり、表情も出しやすくなるのです。 食事が楽しくなる 歯の最大の役割は食事の際に食べ物を細かく噛み砕いて消化しやすくすること、そして食べ物の歯ごたえを感じることです。 食べ物の美味しさは歯に伝わる歯ごたえ・噛みごたえ、そして噛むごとにはっきりしてくる味わいがあって感じられるものです。歯を何本か失っていると噛みにくくなり、食事を美味しく楽しむことが難しくなってしまいます。 義歯を入れていれば、自前の歯があった時と同じように噛めるので、食事も自前の歯のように楽しめるのです。 噛み合わせが良くなる 歯の噛み合わせは、私たちが思っている以上に身体に大きな影響を与えているものです。我慢したり力を出したりする時に「歯を食いしばる」というように、歯を噛み締めることは身体全体に力を通すことに繋がります。 そして、噛み合わせが悪くなればその分だけ体の力の入り方に歪みが生じ、肩こり・腰痛・頭痛などの原因になってしまうのです。 そうならないためにも義歯で歯を補い、かみ合わせを可能な限り補正することはとても重要なのです。 義歯にはどんなものがある? もしもあなたが歯磨きをサボって、虫歯にはならなかったものの歯周病を発症してしまい、歯磨きをしっかりやるようになったものの時すでに遅し。せっかくの自前の歯がボロボロと歯周病で抜け落ちてしまう事態になった時、どのような義歯を入れるべきなのでしょうか。 ブリッジ 抜けた歯の左右にある歯が健康だった場合は、「ブリッジ」と呼ばれる義歯を入れて補うことになります。 ブリッジは「橋」という名の通り、左右両側の歯を使って義歯を付ける方法で、見た目的にも機能的にも十分なものとなります。しかし、左右の歯を削ってブリッジを接続しなければならないこと、両側の歯への負担が大きいことなど、デメリットも多いのが難点です。 有床義歯(入れ歯) 一般に「入れ歯」と言われる有床義歯は、人工歯と歯茎を覆う床、現存する歯にひっかけるクラスプなどで構成されています。一部または全部の歯が失われている場合、有床義歯を使って補うことになります。 有床義歯は歯並びそのものを再現できるため、非常に自然な形で審美性と機能性を両立できますが、歯茎と床の間に隙間が出来てしまい、噛んでいる最中にグラついたり隙間に食べカスが入り込んでしまったり、歯茎で食べ物の温度を感じ取れなくなるので料理の美味しさが半減するといったデメリットがあります。 デンタルインプラント…
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