忙しさにまぎれ、つい足が遠のく歯医者。多少痛んでも痛み止めを飲んで済ませてしまうという人も。今回の相談者もそんな一人です。横に伸びる親知らずを放置していたところ、隣の歯が割れ、ついには頰が腫れてきたといいます。どう対処するのがよいのでしょうか。専門家に聞いてみました。

■30代男性からの相談:「親知らずの放置で腫れた頬について」
『小さい頃から右奥の親知らずが縦に伸びず、横に伸びていて隣の歯を圧迫しています。たまに痛さがあり、最近とうとう隣の歯が割れてしまいました。ひどくなれば手術が必要になると歯医者からは言われましたが、保険対象外ということもあり、放置しています。しかし最近、ばい菌が入ったのか、歯茎の横から頬の部分が腫れてきています。市販の薬で治まるものの、歯科医に相談したほうがよいのでしょうか。(30代・男性)』
■意外と怖い親知らず。場合によっては命に関わることも
親知らずを放っておくと、重い症状にまで発展してしまうことがあるようです。場合によっては命に関わることもあるとの声がありました。

『親知らずが横向きに生えて隣の歯を圧迫している場合、隣の歯の虫歯を引き起こしたり、全体の歯並びに影響することもあるため、早めに抜歯するのが一般的です。今、歯科医院を受診すれば、薬で炎症を抑えたのち、検査して抜歯することになりますが、レントゲンなどすべて含めても5000円ちょっとの出費です。市販薬は応急処置ですので、ぜひ早めに受診してください。 (歯科衛生士)』
『ばい菌が入って歯ぐきや頬が腫れる状態を智歯周囲炎といいますが、これを放置して炎症が進むと、口が開きにくくなったり、のどまで炎症が波及し、マイクロモーターものを飲み込めなくなります。食事ができず、身体の抵抗力も下がった状態で、炎症が顎骨や骨髄、首の下の縦隔洞と呼ばれるところまで広がることもあり、入院して長期間つらい治療をすることにもなりかねません。呼吸困難や敗血症などで命に関わることもあります。 (歯科衛生士)』
■自己判断は危険。できるだけ早めに受診を
薬で抑えられるから大丈夫だろうと自己判断するのは危険です。できるだけ早めに病院を受診しましょう。

『親知らずは横の歯にも影響を与えます。すでに影響が出ているようですので、歯医者での治療をお勧めします。自己判断は危険ですので、一度歯医者にかかり、現在の状況を診てもらって、お勧めの治療を聞いてはいかがでしょうか。特に怖いのは感染です。膿がある状態での親知らずの治療は、細菌が入り込んで、ごくまれに全身に細菌が回ってしまう可能性もあります。 (医師)』
『市販の薬で改善しているとのことですが、腫れの原因は親知らずの位置が悪いことにあると思われます。原因を放置して症状だけ改善しても、そのうちに症状が深刻化したり、市販薬で改善しなくなったり、場合によっては今なら簡単に済む治療も、その他の治療と一緒に行わなければいけなくなるかもしれません。(医師)』
親知らずは放っておくと、思った以上に重症になることがあるようですね。薬で抑えられるからと安心せず、できるだけ早めに病院を受診しましょう。