歯周病の基本治療

歯周病の治療では、最初から歯茎にメスを入れたり、抜歯をしたりするようなことはありません。まずは、直接の原因になる歯垢(プラーク)や歯石を取り除く、プラークコントロールから行うのが基本です。プラークコントロールには、患者自身が行うセルフケア(毎日の歯磨き)と、歯科医で行うメディカルケア(スケーリングやルートプレーニング)があり、この両方を連携して行うことで、はじめて治療が成り立ちます。

スケーリング…先に刃のついた「スケーラー」という器具を用いて、歯茎の上の部分や歯周ポケットの浅い所にたまった歯垢や歯石を除去します。最近では、痛みが少ない超音波スケーラーを用いられることも増えてきました。

ルートプレーニング…先に刃のついた「キュレット」という器具を用いて、歯周ポケットの奥についた歯垢や歯石を除去するとともに、歯の根元の表面を滑らかにして、歯垢などを付着しにくくします。歯科ユニット

歯周ポケットを小さくして炎症を治す外科治療

基本のプラークコントロールを行っても炎症が治まらない場合は、外科治療を行うことがあります。歯周病の外科治療には、次のものがあります。

歯周ポケット掻爬(そうは)術…歯周ポケットの深さが4mm程度の軽度の歯周病が対象となる治療法です。局所麻酔をして、歯周ポケットの中の炎症を起こしている歯周組織を掻き出し、除去します。スケーリングやルートプレーニングで用いる器具を歯周ポケットに挿入して行うので、メスでの切開は行いません。

フラップ手術…歯周ポケットの深さが5mm以上の場合に適応される治療法です。局所麻酔をした上で歯茎を切開し、歯石などをきれいに取り除いた後に、歯茎を元に戻して縫合します。

破壊された歯槽骨を再生する歯周外科治療

重度の歯周病で、歯を支えている歯槽骨まで破壊されている場合は、歯槽骨を修復するために、次のような外科治療を行うことがあります。

GTR法…歯の周りには歯茎以外にも、歯槽骨や歯根膜などの歯周組織があり、それぞれが自然治癒力を持っています。なかでも歯茎は、ほかの歯周組織よりも修復するスピードが早いという特徴があります。このため、歯槽骨がやせ細っている状態でフラップ手術を受けると、歯槽骨などが育つべきスペースに、再生された歯茎が入り込んでしまい、歯槽骨の修復を阻んでしまいます。そこでGTR方では、フラップ手術をした後に、歯茎と歯の根元の間に人工素材の膜を置き、歯茎が入り込まないようにして、歯槽骨の再生を促します。

エムドゲイン療法…GTR法で膜を置く代わりに、「エムドゲインゲル」というタンパク質のジェル状ですき間を満たす治療法です。GTR法よりも手術が簡単で、使用するゲルも自然に吸収されるので、取り除くための手術をする必要がありません。