自分の歯並びにコンプレックスを持っている成人男性も少なくないはず。とはいえ歯列矯正は、子どものうちに済ませるものというイメージが強いため、歯並びの改善をあきらめてしまっている人もいるのではないだろうか。しかし、最近は装置が見えない治療法が発達したおかげで、大人でも歯列矯正を始める人が増えたという。歯模型一体どんな方法があるのか? 最先端の治療方法や期間などを矯正歯科医の川崎健一さんに聞いた。

■■今回のアドバイザー
表参道矯正歯科
院長 川崎健一さん

完全オーダーメイドの矯正歯科治療を行う表参道矯正歯科の院長。東北大学歯学部卒業。歯学博士(歯科矯正学)、日本矯正歯科学会認定医 舌側矯正医(Lingual Orthodontist)インビザライン専門医(インビザラインスーパードクター)クリアアライナー認定医、アソアライナー認定医。

■装置が見えないので、見た目を気にしなくても歯列矯正ができるように

川崎さん「歯列矯正には、様々な種類があります。昔と違い、目立たない・見えない矯正というのも増えました。例えば、リンガルブラケットシステムという方法があり、これは、歯の裏側にワイヤーを装着して歯を動かすというものです。ほかに、透明なマウスピースをして歯を動かす、マウスピース矯正というのもあります。どちらも装置が見えないので、矯正治療をしていることがわかりません。ただ、治療中の痛みや、発音への影響は、マウスピース矯正のほうが少ないので、痛みに弱い方や、発音に影響すると困る方はマウスピース矯正がおすすめです。

治療期間は、歯並びによって変わってきますが、両者とも1~2年程度と、大体同じくらいです。費用は、装置が高額な分、リンガルブラケットシステムのほうが高めになります」

■早く治療を終わらせるスピード矯正のメリット、デメリット

川崎さん「とにかく早く治療を終えたいと思う方には、スピード矯正という方法もあります。一般的に、セルフライゲーションシステム、インプラント矯正、コルチコトミー法の3つのタイプに分類されています。

いずれの方法も、一般的な治療より、期間が短くなるメリットがあります。ただし、期間短縮を優先させるあまり、強すぎる力で歯を引っ張ると、歯根吸収などのトラブルの危険性も出てきます。歯列矯正を早く終わらせたいという気持ちもわかりますが、ある程度の時間がかかることは仕方がないと頭に入れていたほうが、ストレスなく治療ができるはずです」

■歯並びを治すことで、胃腸の負担を減らして消化を助ける効果も

「上述したように、透明マウスピース矯正や裏側のワイヤー矯正が発達してきたため、見た目を気にする必要がなくなりました。そうした理由から、大人の歯列矯正は増加の傾向が続いています。

大人になった今からでも、歯並びを治すことでたくさんのメリットが生まれます。まず、虫歯や歯周病になりにくくなるので、歯の寿命が延びます。そして食べ物がしっかり噛めるようになるので、胃腸の負担が減り消化を助けてくれます。もちろん、歯並びがキレイだと人に与える第一印象もよくなりますし、話すときの発音を気にしていたのが改善されるというケースもあります」

■最後にアドバイザーからひと言

「早く治療を始めれば、その分早く治療が終わります。矯正は大人になってからでもまったく遅くありませんよ!」