この冬もインフルエンザが大流行。患者数は、2月中旬時点で約205万人。過去10年で2番目の多さにまでふくれ上がっている。

うがい・手洗いを徹底し、外出のときにはマスクをつけて…。こういった予防ももちろん重要だが、あまり知られていないわりに、かなり有効な方法がある。それは、歯磨きや舌磨きだ。

正しく実践すれば、インフルエンザになる確率がなんと10分の1にまで減るというデータもある。20~30分おきにしないとウイルスの侵入は防げない、といわれるうがいに比べ、殺菌効果は高い。

なぜ、歯や舌を磨くことが、予防につながるのか。横浜市・とつかグリーン歯科医院院長の渡辺秀司さんが言う。

「インフルエンザは口から感染するので、口の中の菌をきちんと取り除くことが必要なんです。さらに、口の中のケアをすると免疫力が上がるので、感染しにくくなります」

歯だけでなく舌も磨くのは、そこに菌がくっつきやすいからだ。

「舌には味を感じる味蕾という部分があります。でこぼこしていて、ここに菌がつくと、ゆすいだり薬を使ったりしただけでは取れにくい。だからブラッシングが必要なのです。食べ物のカスから発生するプロテアーゼという酵素が口の中に多くあると、ウイルスは増殖しやすい。歯模型ですから、舌も磨いて、できるだけ取った方がいいんです」(渡辺さん・以下「」内全て同)

では、どうやったら菌や菌の温床を効果的に取り除けるのか。

歯磨きの場合は、“ふつう”タイプでは硬すぎるので、柔らかめの歯ブラシを使うとよい。毛先を使って縦に数回、掻き出す感じで磨くのがポイントだ。また舌磨きはこうだ。

「舌磨き専用のブラシか、“ウルトラソフト”と呼ばれるような、とても柔らかいタイプの歯ブラシで舌をまんべんなく、消しゴムでこする感じで2、3回往復すればいいでしょう。力を入れすぎて傷つけないようにしてください。刺激の強い歯磨き粉などは味蕾を傷つけるので、使わない方がいいでしょう」

さらに渡辺さんは、歯茎のマッサージもすすめる。

「こちらも消しゴムでこするような感覚で、頬と歯茎の境のV字型になっているところを軽くマッサージします。こうすることで菌を取り除けるし、血流がよくなって口の中が強くなります」

磨くタイミングはまず、帰宅後。

「この場合は、舌や歯を磨く前に、必ず手を洗ってから。そうしないと、手についていたウイルスが口に入ってしまいます」

そして大事なのは、就寝前のケア。口の中の菌は、寝ている間に繁殖するからだ。

「また昼間の唾液は、夜の唾液の影響を受けます。夜の唾液の質がいいと、昼の唾液の質もよくなるのです。ですから、寝る前には抗菌性のある歯磨き粉を使って歯を磨いて、それから、舌磨きをしてください」

いつもの習慣にプラスアルファで、インフルエンザを遠ざけよう。