1年に1回は健康診断を受けている方も多いと思います。そこで質問ですが、同じように“歯の健康診断”、つまり歯科検診は受けていますか? 歯科検診を受ける人と受けない人との間では、将来的に歯を何本残せるか、その数が大きく変わってくるとか……。

そこで今回は、富山県の小矢部市で『渡辺歯科医院』の院長を務める歯周病専門医の渡辺智良先生に、歯科検診の重要性を聞きました。

■歯科検診を受けないと歯周病に気付きにくい

そもそも、歯科検診とは何をするのでしょうか?

渡辺先生に尋ねたところ、「歯周病の検査(歯に動揺がないか、歯周ポケットの深さ、歯茎からの出血の有無など)、ブラッシングのチェックと指導、回転器具と歯磨剤による細菌の除去、歯石の除去、かみ合わせのチェック、虫歯のチェック、レントゲン診査など」を、必要に応じてやってくれるとのこと。

これだけ入念に調べてもらえれば、虫歯や歯周病の早期発見につながりますし、デンタルケアのスキルも上達しますね。

「自分で気付くから大丈夫」と考える人もいるかもしれませんが、歯と歯のすき間などに虫歯ができていたら、見た目には気付きにくく、知らず知らずのうちに悪化を許してしまいます。

しかも渡辺先生によれば、歯を失う最大の原因である歯周病は、別名で“サイレントディジーズ(静かな病気)”と呼ばれ、痛みもなく見た目にも分からず悪化が進む恐ろしい病気だとか。

厚生労働省の情報でも、日本人が歯を失う理由の80%はこの歯周病もしくは虫歯によるもので、年齢とともに罹患(りかん)者数が右肩上がりとなっています。糖尿病などと一緒で、歯周病も自分では気付きにくいため、歯の定期的な健康診断が何よりも重要になってくるのですね。歯科ユニット

■5年間で約4倍も歯を失うリスクが違ってくる

では、実際に歯の定期的な健康診断を受けると、どれほど歯を失うリスクが軽減するのでしょうか?

渡辺先生によれば、「歯周病治療とメンテナンス(定期健診)をきちんと行えば、歯周病治療を行わなかった人の1/4、歯周病治療は行ってもメンテナンスをしない人の半分しか、歯を失わないという報告もあります」とのこと。

言い換えれば、定期的な健康診断を受けないと“歯を失うリスクが4倍近く高くなる”のですね。

実際、渡辺先生の紹介する米国の論文によれば、歯周病の治療と再発予防の定期健診(メンテナンス)を受けている人が5年間に失った歯の数は0.5本なのに対し、歯周病を放置し、定期的な健診&メンテナンスも受けなかった人は、5年間で1.8本も歯を失ったという調査結果があるとか。

「深い歯周ポケットが残っている人、ブラッシングが上手にできない方、歯周病専門治療を受けた人は1~3か月毎、歯周病のリスクの少ない方は6カ月~1年に1度は歯医者さんでメンテナンスを受けることをお勧めします」

1年に1度くらいなら、無理なく通えますよね。

以上、歯科検診の重要性を渡辺先生に教えていただきましたが、いかがでしたか? 歯を1本でも失うと生活の質は大きく下がるといいます。会社員の方も自営業の方も専業主婦も、まずは近くの歯科医院に足を運んでみてくださいね。