口の中の歯が修復不可能なほどダメージを負った時には、残念ながら抜かなければなりません。前歯は見た目の問題もありそのままにすることは、あまりないでしょうが、奥歯となるとまだ他の歯で咬めるためか、1本だけ抜いたままにしているケースを時々見かけます。

一見、そのままでも何の支障もないように思いますが、時間の経過と共に後で苦労することもあるのです。抜いてしまった歯をそのままで放置すると何が起こってくるのか、解説したいと思います。
そのままにしておくとトラブルの元に…
よくあるのは、歯医者さんが苦手なため、我慢ができないほどの痛みが出るまで虫歯を放っておいて、すでに手遅れになってしまうケースです。

歯を抜いて痛みがなくなったら、「1本無いけどそれほど不都合なく使える。」と考え、それ以後の歯医者さんでの治療がストップしてしまう…というのがもっとも多いようです。
抜いた歯をそのままにすると…

奥歯の1本がなくなるだけでその周りの歯が動きます。
かみ合わせる相手がいない歯が伸びてくる
上下で咬むことができなくなった歯が、抜いて無くなったスペースを埋めるように伸びてきます。ひどくなると上の歯が下の歯の抜いた部分の歯肉にぶつかるまで伸びてくることもあります。

骨も一緒に伸びてくる
歯だけが伸びるのではなく、歯の周りの骨も一緒になって伸びてくるため大きなコブのように歯肉が見えるようになってきます。(歯科矯正器具)

両隣の歯が傾いてしまう。
抜けてしまった歯の周りが動く
時間が経つとどんどん動いてブリッジなども作れなくなることもあります

両隣の歯が、歯のなくなったスペースに倒れるように傾いてきます。

ブリッジを作りにくくなる
歯を抜いて何年も経過してから、歯の抜いた部分に「ブリッジ」を作ろうとしても、スペースが無くなりきれいに作れなくなります。

他の歯も傷みやすくなる
歯が1本少なくなれば、その分、他の歯に余分な力がかかり、傷みやすくなります。

抜いた部分をそのままにすると、時間の経過と共に治すことが困難になってきます。まれにそのままでも問題ないこともありますが、できれば歯医者さんに行って確認することをお勧めします。
抜いた後の治し方は…

基本的な治療の方法は、大きく分けて次の3つです。
ブリッジ

一般的にもっとも良く使われるのが、このブリッジです。抜いた部分の前と後ろの歯の形を削って修正して、3本の歯を一つの塊で作ることによって歯の形を元に戻します。奥歯では金属色のみ健康保険の適応内となります。

入れ歯

外れると飲み込んでしまう恐れがあるため、あまり作られませんが、1本だけ入れ歯も作る事はできます。健康保険の適応内です。

インプラント
手前の歯と奥の歯を両方とも削ることなく抜いた部分のみ治療可能です。骨に直接チタンの根を埋め込んでその上に歯を作ります。健康保険の適応がありませんので自費治療となります。(口腔外科用マイクロモーター)

どの方法を選択するかは、それぞれにメリットやデメリットがあるので、実際に治療する医院で納得するまで説明をしてもらうことをお勧めします。