喉が渇いたときに飲む炭酸飲料は、爽快感があり人気の商品だ。最近では、さまざまな種類の炭酸飲料が販売されている。

「コーラを飲むと歯が溶けるよ」と小さい頃、よく言われたが果たしてそれは本当なのだろうか。今回は、炭酸飲料が歯に及ぼす影響について紹介しよう。

□コーラなど炭酸飲料は酸性の飲み物 歯が溶けるリスク有り
炭酸飲料は、人工的に炭酸ガスを含ませた飲料であり、pH7の中性を下回る酸性の飲み物だ。

歯科医師である小林保行氏によれば、歯はpH5.5以下で溶けだすという。商品によっても異なるが、ほとんど炭酸飲料は、基準値のpH5.5を下回るものが多く、炭酸飲料を飲みすぎることで歯が溶けるリスクが増すと警鐘を鳴らしている(※1)。

□歯が炭酸で溶けてもだ液で修復される
「コーラを飲むと歯が溶ける」は本当だった、と驚く人は多いかもしれない。

しかし、歯が溶けると言っても、歯の表面のエナメル質からミネラル分が流れ出すもので、口の中を中性に保つ働きのあるだ液の働きにより、溶けた歯は自然に修復される口腔洗浄器

このことは、歯の脱灰と再石灰化と呼ばれる。

□虫歯の原因にもなる酸蝕歯(さんしょくし)
炭酸飲料をはじめ酸性の食品や飲料を取った後に、ミクロレベルで歯が溶けても、だ液の作用により自然と元に戻る。しかし、炭酸飲料の飲む機会が多くなったり、直後に歯に摩擦が加わったりすると、歯の溶けが進み虫歯のような状態になってしまう。

「虫歯のような状態」、というと、虫歯と何が違うの?という質問が上がってきそうだが、酸蝕歯と虫歯の大きな違いは、細菌が関係することなく歯が損なわれてしまうという所にある。

酸蝕歯は、炭酸飲料だけでなく、かんきつ類や酢、ワインなどが原因でなることもあるほか、最近よく聞く逆流性食道炎などによる胃酸でも起こる。

□コーラなど炭酸飲料により歯が溶けるのを防ぐには
歯の健康のために、炭酸飲料をはじめとする酸性の食品を摂取したら、次のことに注意しよう。

・炭酸飲料などを頻回に飲むのを避ける
炭酸飲料をはじめ酸性の食品を取っても、だ液の働きで中和できるが、摂取する頻度が増えれば、口の中が酸性に傾きやすくなり、酸蝕歯となることもある。特に、炭酸飲料などはダラダラと飲まないように注意しよう。

・歯磨きは30分後にする
意外かもしれないが、食後すぐの歯磨きは、あまりお勧めできない。炭酸飲料や酸性の食品を取ったあとは、歯が摩耗しやすくなっているため、歯ブラシの刺激で歯が微細に削られてしまう可能性がある。歯のエナメル質が削れると、ツヤがなくなったり、黄色味が強くなったりしてしまう。口をすっきりさせたい人は、まず口を水ですすいで、しばらくしてから歯を磨くようにしよう。

普段口にしている炭酸飲料や、健康のために摂取していた食品が、歯の健康には良くないことがある。正しい知識を持って、いつまでも健康な歯を維持できるようにしていきたい。