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早期治療が果たして効果があるのか?ということについては,2年前のSteven Dugoni先生とLysle Johnston先生の対決再びという感じでしたが,治療のエビデンスという意味においては特に II 級(上顎前突)の早期治療にエビデンスが無いということが議論されました.Dugoni先生は初期治療をすることで,40%くらいは2期治療が必要なくなると言うデータを持っていますが,おそらくこれはどんな患者さんにでも早期治療をしている訳ではなくて,Dugoni先生独特の診断力がそうさせているのではないでしょうか?科学的データとして抽出すると,有意差としては現れにくい,別のファクターがあるような気がします.

イースマイル矯正歯科での早期治療を開始するガイドラインとしては,反対咬合・交差咬合などの『咬合干渉が顎骨の発育に影響を与える可能性の高いケース』・『埋伏歯などで萌出障害のあるケース』・『上顎前歯のスペース不足による萌出障害のあるケース』ということです.特に,上顎前歯の萌出障害があるものは上顎骨の拡大を早期に行っておくことで,超音波スケーラー上顎前歯の配列が行えるばかりではなく,呼吸の問題や姿勢の問題が解消されることが多いことを経験しています.いびきがなくなったとか,鼻の通りがよくなった,アトピーやアレルギーが少なくなったなどの報告をいただけることが多いです.厳密にはRCT(無作為抽出による臨床検査)が必要ですので,確かにそうなる,とは言えないのですが.

それにしてもLysle Johnston先生の辛口論証はいつもながら熾烈です.早期治療のほかに槍玉に挙がったのはフリクションフリーのブラケット(デーモンブラケット)が非抜歯治療を可能にするというのもありました.『デーモンだから「顔を持ち上げ」て,「舌機能を目覚め」させ,「抜歯がいらなくなる」』などと喧伝しているのを放置するのはAAO(アメリカ矯正歯科医会)の怠慢であり,科学レベルの議論よりも取引上の制限がかかっていることに対して働きかけなければいけないとこき下ろしていました.アヒルがガァガァ鳴いているだけなのか,それともこれが金の卵を抱いたガチョウなのか,よく見極める必要があると例えていました.

Camilla Tullock先生はミニプレートによる治療効果について発表していましたが,歯科診療ユニット骨格性反対咬合が大変ドラマティックになおっているケースが特に印象的でした.SEC IIIの固定版と言ったところでしょうか.またこれは上顎頬骨弓基底部を固定源にするので上顎臼歯が欠損しているようなケースでは非常に有効な手段だと思います.今後更なる応用と発展が期待できそうです.

Heon-Jae Cho先生は,顎矯正手術における下顎後退術の安定性に関与する因子として,遠心骨片の位置の変化が大きい,ということをとても明快な臨床研究でまとめておられ,高い評価を受けていました.またこれは矯正歯科医が口腔外科医にきちんと伝える必要がある,ということで,私もそのようにしたいと思います.

ほかにもたくさんトピックはあるのですが,とりあえずこの辺で.

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