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歯周病とその治療

歯科の2大疾患は,う蝕(虫歯)と歯周病です。歯周病は,以前は歯槽膿漏(しそうのうろう)と呼ばれていた疾患です。歯科疾患実態調査によると,若年者のう蝕は減少傾向にありますが,逆に歯周病の罹患率は増加しています。 歯周病とは 歯周病は歯と歯肉(歯茎:歯ぐき)の境界にあるポケットと呼ばれる溝の中で歯周病原細菌(歯肉縁下プラーク)が増殖し,その細菌の感染によって炎症が生じて,発症・進行するものです。 初期の歯周病を歯肉炎,進行したものを歯周炎と呼び,歯周炎になるとさらにポケットが深くなり,病変が悪化します。 プラークの増加と嫌気性菌の増殖が主な病因 歯肉縁下プラーク中の細菌が歯周病の主な病因であることが明らかになったのは,ここ 30~40年間のこと。 その結果,歯周病の発症は歯肉縁下プラークの量が増えることに加え,プラークを構成する細菌の質が変化すること,つまりポケット内に空気を嫌う嫌気性菌が増殖することが明らかになりました。 歯肉縁下プラーク1ミリグラム中には1億から10億個の細菌が生息します。ポケットの中で細菌は浮遊状態で存在するのではなく,他の多くの細菌と凝集塊を作り,細菌が産生する糖に包まれてバイオフィルムと呼ばれる集塊(しゅうかい=かたまり)を形成します。 バイオフィルム中の細菌は白血球や抗体などの攻撃や抗生物質等からも防御され,歯周病が慢性化する要因になっています。 全身疾患への移行 また集塊のまま剥離すると,全身へと拡散して遠隔の臓器に傷害を与え,全身疾患の原因となることが明らかになってきました。 また近年,歯周病原細菌の菌体成分や代謝産物が直接的に歯周組織に傷害を与える直接作用以外に,「マイクロモーター歯科」宿主の免疫応答や代謝を撹乱し,過剰な免疫,生物学的反応を誘発して,組織傷害を導く間接作用が重要な病因であることが分かってきました。 自覚症状がないことで病状進行 歯周病は進行する過程でほとんど痛みを伴わないため,自覚症状が少なく,症状が出現したときには,非常に病状が進んでいる場合が少なくありません。 そのため,気付いた時には重度の歯周病で抜歯しなければならないケースが多々見られます。歯周病の治療は,以前は対症療法が主なものでした。対症療法というのは歯肉が腫れたら投薬したり切開を行い,歯石が沈着したら歯石を取るなどといったその場限りの治療法のことです。 しかし,歯周病の原因が除去されていないために,根本的な治療法にはなり得ませんでしたが,最近では歯周病の原因を除去する「原因除去療法」が主な治療法となり,歯周病の治療が一段と進歩していきました。 中でも重要なのは,歯科医や歯科衛生士による「歯ブラシ指導」と患者さんの口腔衛生に対する「意識を向上させる指導」です。 意識の向上がポイント 歯ブラシ指導は歯ブラシの,テクニックの指導のことですが,歯ブラシを“頑張ってやろう”いう意識の向上がなければ,正しい歯ブラシを毎日行うことはできません。 つまり,口腔内のプラークや歯石を単に取るのではなく,プラークの成り立ちや歯石が沈着する原因を患者さんに説明し,プラークや歯石が付かない口腔内環境を作り出すことが重要です。
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歯周病( 歯周疾患)

中高年の8割に歯周病が  歯周病は、歯のまわりにある組織(歯周組織という)のいずれか、あるいはすべてに起こる疾患の総称で、歯周疾患とも呼ばれます。  歯周組織は、 歯肉しにく(歯の根と骨をおおっている部分で、通称歯ぐきという)、セメント質(歯の根の表面部分)、 歯槽骨しそうこつ(歯を支えているあごの骨の一部)および 歯根膜しこんまく(セメント質と歯槽骨とを連結している膜で、 歯周靭帯ししゅうじんたいともいう)から構成されます 主として歯肉から炎症が起こる 歯肉炎しにくえんや 歯周炎ししゅうえんと、歯周組織の深部(セメント質、歯槽骨、歯根膜)から非炎症性で破壊が起こる 咬合性こうごうせい外傷に大別できます。歯科ユニット日本人の約7割が歯肉に何らかの異常があり、働き盛りの中高年では、実に8割の人に歯周病があると報告されています これまで、歯周病は一度かかったら治らない不治の病ともいわれてきましたが、20世紀末になってその原因が次第に明らかになってきました。  歯肉炎や歯周炎は、口のなかにすんでいる細菌( 口腔常在菌こうくうじょうざいきん)によって起こる感染症であることに意見の一致をみています また、咬合性外傷は、歯周組織の適応能力を超えた力が加わることによって起こることもわかっています。
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口臭、歯の黄ばみ、みっともない!

「彼とのデートでは楽しく笑い合いたい!」誰しもそう願っているはず。しかし、笑ったときに結構目立つのが歯の黄ばみ、着色。そして、接近したときに気になるのが口臭。キスのとき、キツイ口臭が漂ってきたら相手もゲンナリしてしまいます。 そこで今回は、元歯科衛生士の筆者が「自信をもってスマイル&接近&キスができる」、デート前にやっておきたいお口のケアを紹介します。 口臭予防は正しい歯みがき習慣から 生活習慣になりますが、やはり食後の歯みがきは大切です。というのも、口臭の主な原因として「むし歯、歯周病、歯石」があります。その一番の要因である歯垢(プラーク)を素早く除去することで、お口の健康に繋がり、確実な口臭予防になります。ちなみに強い力で磨くのは厳禁。毎日の積み重ねで歯が削れていってしまいます。歯磨き粉も研磨剤が入っているので、ごく少量(目安は歯ブラシヘッドの1/3~1/4くらい)で行いましょう。 舌の汚れも臭いの原因の一つ 口臭の原因の一つに「舌苔」という、舌のコケのような白い付着物があります。これは細菌や汚れが舌に溜まったもの。病気ではありませんが、臭いが気になる人はキレイにしておきましょう。専用に舌ブラシというものが売っていて、水に浸し、軽く舌にそわせるようにして使います。一日一回も行えば十分、気になる人はチェックしてみましょう。(歯科機器通販) 歯の黄ばみにはホワイトニング 歯の色を白くしたい人はホワイトニングもおすすめ。歯科医院で行うホワイトニングの他、自宅でできるホワイトニングも販売しています。これは完全な白を期待するというより、現在の歯色よりも白くするもので、多少個人差があります。保険が効かないので少々値段は高めかもしれませんが、白い歯は自信となってハッピースマイルができそうです。 デート直前のエチケットは水分補給とガム 口が渇いた状態だと口臭も強くなるって知っていますか? デート前で緊張すると、口の中が乾いてしまうことも・・・・・・。そんなときは水分補給。おすすめは緑茶やストレートの紅茶です。お茶の中に含まれるフラボノイド成分に消臭効果が期待できるので、まさに一石二鳥! その上にフラボノイド入りのガムでもかんでおけば、直前準備は完了。「キスならいつでもカモン!」です。 お口のクリーニングは定期的に 最後にはやはり、定期的な歯科医院でのお口のクリーニングをおすすめします。自力では取れない歯の着色や歯石も除去してもらえて、ツルツルピカピカになります。歯みがき指導などもしてもらえるので、正しいブラッシング方法も学べます。「輝くスマイルは健康なお口から!」。 何事も日頃からの手入れが肝心なのです。(タービンハンドピース) おわりに いかがでしたか。デートを制覇し、次に繋げるにはある程度の自信が必要。歯の黄ばみや口臭を気にしてオドオドしている場合ではないのです。白くてピカピカの歯なら、彼の前で飛びきりの笑顔ができますね。「キスもその先もドンとこい!」いつでもそう思えるように、日頃からのお口のケアはしっかりしておきましょう。
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歯科医に聞く。歯ぐきからの血は出した方がいい?

歯科を受診したときに、「歯ぐきが弱っているので歯ブラシでマッサージをして鍛えてください」と言われました。でも、磨くとすぐに出血します。 歯ぐきから血を出すことがいいことなのか、病気のもととなるような危険な出血はないのか、いつも気になります。そこで、歯学博士で歯科・口腔衛生外科の江上歯科(大阪市北区)院長・江上一郎先生に詳しい話を聞きました。 ■怖がらずに出血させることで、歯ぐきは強くなる ――歯ブラシで歯ぐきを軽く磨くだけで出血します。何かの病気なのでしょうか? 江上先生 歯ぐきは柔らかい組織で、とてもデリケートです。歯ブラシを軽く当てた程度でもすぐに出血する場合は、炎症を起こしてはれている状態だと考えられます。 例えば、手足の皮膚をけがしたときには、血液をそこへ送って菌を殺し、早く治そうという働きが起こります。歯ぐきも同じで、炎症が起こると血液がたまり、出血しやすくなります。 ――炎症を抑えるために出血させた方がいいのですね。 江上先生 はい。出血を怖がって歯磨きをしないと、歯ぐきのはれはどんどん悪化していきます。初めは柔らかい歯ブラシを使い、定期的に歯ぐきを刺激してください。そうすると、歯ぐきの新陳代謝や血行が促進され、新しく強い歯肉(しにく。歯を支える歯周組織の粘膜)が増殖されて、元気な歯ぐきに生まれ変わります。 ただし、健康な歯ぐきに対して、わざと硬い歯ブラシで刺激して出血させるようなことはしないようにしてください。歯ぐきに傷をつくるだけです。 ――歯ぐきがはれて炎症を起こす原因は何でしょうか? 江上先生 最も多く考えられるのが、歯肉炎を含む歯周病です。歯周病とは、歯と歯ぐきの隙間(歯周ポケット)にある嫌気性菌(けんきせいきん。酸素の少ない場所で発育する細菌)から排せつされた毒素によって、歯ぐきに炎症を起こす病気です。日本人の約8割が歯周病に感染していると言われています。(歯模型) ■歯周病でも放っておくと危険 ――歯ブラシでマッサージをしても改善されない場合はどうすればいいのでしょうか? 江上先生 歯周病は初期の段階では腫れや出血の症状だけですが、進行すると骨にまで炎症が進みます。歯がぐらぐらと動くようになり、最終的には歯が抜けて、取り返しのつかないことになります。 歯周病の原因となる歯垢(しこう)をまずは日々の歯磨きでしっかり取り除くことが大切ですが、自己流の歯磨きでは改善されないこともあります。歯垢(しこう)が固まり歯石(しせき)になると、歯科で取り除くしかありません。歯ブラシでのマッサージを続けても出血が治まらないようであれば、早めに歯科を受診してください。 ――歯周病以外に考えられる出血の原因はありますか? 江上先生 大きなむし歯があり、歯ぐきの中まで侵食しているケースです。この場合、むし歯が原因で強い痛みを感じることがありますが、出血での痛みは感じません。 また、歯のかぶせものが不適合な場合、かぶせものが歯ぐきを圧迫して出血します。むし歯もかぶせものの不適合も、原因のある特定の場所からしか出血しないのが特徴です。 このように、常に同じ部位からの出血が続く場合は、慢性の炎症があると考えられます。一方、疲れがたまっているとき、寝不足やストレス、風邪など、体調が悪いときの出血は一時的なので気にしなくていいでしょう。歯ぐきは体調の具合がデリケートに表れる場所です。(携帯心電計) ――歯ぐきからの出血の原因がよく分かりました。ありがとうございました。 特定の部位からの出血が慢性的に続くようであれば、歯科を受診するようにしましょう。歯周病が原因で出血する場合は、歯ブラシで刺激して歯ぐきを鍛えます。ただし、歯周病もひどくなると危険なので注意が必要です。歯ぐきからの出血が気になる方は参考にしてください。
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ZとスーパーZの使い分け

おはようございます。 それでは、ZとスーパーZ の使い方のつづきです。 日本デンタルショーで 質問が多かったのが、両者 の使い分けです。  まずZは、通常の排唾管 のように口角や口唇に引っかけた 状態で使えます。 シリコンチップをスライドさせて 長さを調整できるので、様々な 口の大きさの患者さんに対応 できます。 この時に片手が空くので、ミラー で舌や頬を圧排しながら治療 ができます。 また、手で持ってバキューム のように舌や頬を押さえながら 使用することもできます。  さらに、下顎の口腔底に入れた 状態でも使えます。 この時にシリコンチップが軟らかい ので痛くありません。 ガーゼやコットンロールと併用 すると、さらに使いやすいです。 根管治療やセット時などに重宝 します。  そして、スーパーZは、非常に やりにくい下顎の臼歯部の治療 を舌と頬同時に圧排しながら…
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歯科医に聞く「食事がまずい」のはなぜ?

仕事が忙しくて睡眠不足が続くとき、いつもは大好きな食べ物でも、おいしいと感じないことがあります。味覚はだ液の分泌量に大きく関係していると聞きますが、だ液が体に与える影響や味覚の改善方法について、歯学博士で歯科・口腔衛生外科の江上歯科(大阪市北区)院長・江上一郎先生に詳しい話を聞きました。 ■だ液に含まれる消化酵素が、食べ物のうまみを引き出す ――睡眠不足のとき、食事をおいしいと感じないのですが、口腔(こうくう。口の中)で何か変化が起こっているのでしょうか? 江上先生 だ液の分泌量が減っています。だ液の分泌量をコントロールするのは、自律神経の一つでリラックスをもたらす副交感神経です。疲労や睡眠不足、ストレス、緊張感が強いときなど、この副交感神経があまり働かなくなります。また、アルコールやタバコ、降圧剤などの薬の服用によってだ液の分泌量が一時的に減ることがあります。 慢性的にだ液の分泌が少ない人は「口腔乾燥症(ドライマウス)」や「シェーグレン症候群(涙やだ液の分泌に障害が起こる自己免疫疾患)」という病気の場合もあります。 ――だ液の分泌量が減ると、なぜ食事をおいしいと感じなくなるのでしょうか? 江上先生 だ液には、食べ物を分解する消化酵素である「ペプシン」や「ラクターゼ」といった成分が含まれています。これらの消化酵素が食べ物の「うまみ成分」を引き出します。 また、うまみは舌の「味蕾(みらい)」と呼ばれる組織によって感じる仕組みになっています。 だ液の分泌が少なくなると消化酵素も減り、味蕾がうまく働かなかったり味蕾までうまみ成分が届かなかったりするため、味を感じにくくなるのです。 ■ガムやあめ玉を食べて口を動かすことで、だ液を分泌させる ――だ液の分泌量が少ないと、味覚以外にどのような影響がありますか? 江上先生 だ液には口内の抗菌、消毒作用がありますので、分泌量が少ないと、むし歯や口臭、歯周病の原因となります。また、口内炎の直接の原因ではありませんが、抗菌作用が低下したりり、口の粘膜がスムーズに動かなくなって表面が荒れ、口内炎を起こしやすくなることがあります。 ――どうすれば、だ液を増やすことができますか?(歯科診療ユニット) 江上先生 食べ物をよくかむことです。1回の食事で約500回、一つの食べ物を口に入れて飲み込むまでに平均20回ほどかむことが理想だと言われています。また、しっかり水分をとることも大切です。 ――あめ玉やガムを食べることは効果がありますか? 江上先生 口を動かすことがだ液の分泌につながるので、ガムの方がより効果的でしょう。ガムは味がなくなっても捨てずにかみ続けてください。口腔では、異物を感じることでだ液が出るようになっているので、かみ疲れたときは舌の上に丸めて置いておくだけでだ液の分泌につながります。 あめ玉では、酸っぱいあめや、消炎作用のあるハッカタイプがいいでしょう。梅干しもお勧めです。 ――歯磨きや舌の動きでも改善することは可能ですか? 江上先生 歯磨きは、磨いた後で口の中の水分を全部吐き出してしまうため、あまり効果がありません。舌を動かすのはいいと思います。 ――どのような動きがよいでしょうか? 江上先生 口を少し開けて、舌でほおの内側を突きます。左右交互に繰り返してみてください。また、舌を前歯と唇の間に挟み、前歯の表側をなめることも、だ液腺を刺激することになり、だ液量が増えます。 ――味を感じにくくなったときに試してみます。ありがとうございました。 だ液がヒトの体にとってそれほど重要な働きをしているとは――。体調によってだ液の量はデリケートに変化し、味覚やむし歯、口臭にまで影響するということです。だ液の出かたは健康のバロメーターであると意識したいものです。(ウォーターピック)
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歯科医が教える。冷たい水が歯にしみるときはどうする?

原因不明の歯の痛みが続くと、「知覚過敏では!?」と言われますが、ストレスが痛みを増すこともあるとか。知覚過敏とは何なのか、どうして起こるのか、自分で予防する方法などについて、歯学博士で口腔衛生外科が専門の江上歯科(大阪市北区)・江上一郎院長にお尋ねします。 ■歯の象牙質が露出すると痛みが出る 筆者は歯の痛みに敏感で、自分を「痛がり」だと思っています。それを知覚過敏と呼ぶと思い込んでいましたが、江上先生は次のように否定します。 「知覚過敏とは、歯科用語では『象牙質(ぞうげしつ)知覚過敏』と言い、歯の表層のエナメル質の内側の象牙質(ぞうげしつ)と呼ばれる、軟らかい部分の露出が原因で起こる疾患です。『痛がる人』を指すのではありません。 歯のエナメル質には神経が通っていないので、ここだけが傷ついても痛みはありません。が、象牙質には象牙細管という神経があり、ここに刺激があると痛みや違和感が起こります。これが象牙質知覚過敏で、一般に知覚過敏と呼ばれています」 歯の疾患の一つなのですね。具体的な症状としては、 「むし歯ではないのに、歯が痛む状態です。特に、水やビールなど冷たいドリンクがしみる、デザートを食べたらジーンと痛む、つまようじや歯ブラシ、また、風があたるとビリッと痛むなどです」(江上先生) 次に江上先生は、「象牙質の露出の原因は、大きく3つ挙げられます」と指摘します。 1.過剰なブラッシング 歯磨きのとき、力を入れすぎる、雑に横磨きをする、毛先が硬い歯ブラシで磨く回数が多いなど。歯の表面のエナメル質を削り取って、歯ぐきが退縮する(下がること)原因になります。 2.歯周病 歯周組織が炎症を起こし、歯ぐきが退縮することがあります。 3.歯ぎしり 睡眠中の歯ぎしりや、頻繁に歯を噛(か)みしめていると、エナメル質がはがれることがあります。 ■ストレスがあると、さらに痛みに敏感になる 「ストレスがあると、知覚過敏がより進みます」と江上先生は注意を促します。 「人間はストレスがあると神経が興奮状態になって、痛みに反応しやすくなることが分かっています。刺激の度合いが低くても痛くなるということです。 睡眠不足や心身の疲労が強いと、痛み具合は刺激によって、ひりひり、きりきり、じーん、ずきずき、全体が浮くなどさまざまですが、痛む時間も痛みの度合いも増してきます」(江上先生)(超音波スケーラー 家庭用) 筆者も、徹夜明けには歯全体が浮いて違和感がある、歯磨きをすると歯ぐきが痛むなど、思い当たります。自分で予防する方法について、江上先生はこうアドバイスをします。 「まずは、鏡で歯ぐきが退縮していないかをよく確認してください。隣り合う歯の根元に隙間ができると要注意です。そして、丁寧にやさしくブラッシングをすることが大切です。特に、歯と歯ぐきの境目の歯垢(しこう。プラーク)を除去して、歯の根元が露出するのを防ぎましょう。エナメル質は軟らかいものです。汚れているからと力任せに磨くとはがれやすくなります。 また、睡眠を十分にとるなど、ストレスをためない生活習慣を心がけることです。 知覚過敏は神経の病気だと自覚してください。歯周病や歯肉炎があれば早めに受診し、また、歯ぎしりがひどい場合は歯科医院でマウスピースによる治療を受けましょう」(歯科診療ユニット) 知覚過敏の症状が進むと、冷たい水がしみるだけではなく、歯が痛んで水も飲めない、強烈な痛みがおさまらないようになるのだとか。「このごろよく歯がしみるなあ」と思ったときは早めに歯科に相談し、また、ストレスがたまっていないか、疲れていないかを見つめる機会ととらえましょう。
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歯に悪い5つの習慣「なるべく食事の間隔を3時間以上あける」

「人間は20本以上の歯があれば、食生活にほぼ満足することができると言います。いつまでもおいしいものを食べ続けるためには、満1歳ごろからの毎日のケアが重要です」と話すのは、江上歯科(大阪市北区)の江上一郎院長。 歯にとって良くない習慣について詳しいお話を伺いました。 ■初期むし歯は、だ液によって約3時間で修復できる 1.歯を磨かずに寝るのはNG 江上先生 歯磨きをせずに寝ると、糖分や、口内の酸素で甘味に変化する食べ残し(食物残渣・しょくもつざんさ)が歯に付いたままになります。 むし歯菌は、食べ物の糖分を栄養にして、歯の表面にネバネバした物質をつくります。そのネバネバの中にむし歯菌や歯周病菌などの細菌が住みつき、どんどん増えていきます。これが歯垢(しこう。プラーク)です。 歯垢の中のむし歯菌は、食べ物の糖質を材料に酸をつくり、次第に歯の表面のエナメル質を溶かし始めます。むし歯の始まりです。 ここで注目してほしいのが、むし歯に対抗する力を持つだ液です。だ液は細菌の働きを抑える力や、口の中の酸を中和してむし歯を修復する力を持っています。 睡眠中はだ液の分泌量が格段に落ちるため、むし歯や口臭の原因が発生しがちになります。ですから、寝る前にはきちんと歯を磨いて、口の中の糖分を完全に除去しておきましょう。むし歯対策には、毎食後の歯磨きよりも就寝前の歯磨きこそが重要です。 2.間食はミニむし歯を大きくするからNG 江上先生 食後には、歯の表面に残っている食物や糖分が、プラークの細菌によって酸となり、歯の表面がわずかに溶け出して、目に見えない初期むし歯が発生しやすくなります。 通常、初期むし歯の穴は、だ液の働きで、3時間もあればミネラル(リン酸カルシウムなど)が再沈着することで修復されます。これを、歯の「再石灰化」と呼びますが、甘いものを間食すると、その修復が間に合わずに、むし歯がじりじりと拡大していきます。 これがそのうち目に見える大きさに成長し、本格的なむし歯になるのです。(高圧蒸気滅菌器歯科滅菌機器) 初期むし歯を防ぐためには、なるべく食事の間隔を3時間以上あけるようにしましょう。 3.喫煙は口の乾燥をまねくからNG 江上先生 たばこに含まれるニコチンは血管を収縮させることはよく知られていますが、口の中にも悪影響を与えることが分かっています。 たばこを吸うと、歯ぐきや骨の血管が縮んで血液の供給が減少します。また、だ液の出る量が減り、細菌と戦う大切な役割がある白血球の機能が50%も減って、歯周組織を細菌から守る力が弱まります。さらに、治療した箇所を回復させる細胞の能力にも悪影響を与えます。 つまり、喫煙すると歯周組織の抵抗力が著しく減少して、治療しても治りにくくなるわけです。それに、喫煙者はだ液量が減ることで、歯石が歯ぐきの溝である歯周ポケットに付着しやすくなります。メラニン産生細胞を刺激して歯ぐきの色が黒ずみ、口が乾燥して口臭の原因にもなります。 4.スポーツドリンクは歯にとってはNG 江上先生 スポーツドリンクを飲んで長時間のスポーツをすると、ミネラルなどの栄養源は体内に吸収されます。ですが、口の中にはドリンクの糖分が残っています。時間がたてばだ液で流されますが、のどが渇いたらまた飲むということを繰り返しているうちに、糖が歯に付いてむし歯を産み出すことになります。 スポーツドリンクやジュースを飲んだあとは、必ず「水」で口の中の糖分を流すように習慣付けてください。 5.食後の歯磨き剤はNG 江上先生 毎食後に、発泡剤のたっぷり入った市販の歯磨き剤を使って歯磨きをすると、口の粘膜が荒れ、だ液分泌も減って、「口の酸性化」を促します。酸性に傾くと、間食したままの口のように、ミニむし歯ができやすくなります。 「せっかく一生懸命磨いているのに、なぜむし歯が?」と思われることでしょう。食後はだ液がいっぱい出てきているのに、歯磨き剤を使うとこのだ液の分泌が弱まります。つまようじのように、食べ残しを取り除くためだけの歯磨きのほうがむし歯対策に有効です。 マイ歯磨きセットを持参し、オフィスでランチ後歯磨きを励行していた筆者としては、がく然とする事実でした。すべてにおいて、だ液の分泌を促す習慣が必要だということが分かりました。(家庭用蒸留水器)
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歯を白く見せる方法とは?意外と知らない事実

こんにちは!歯科医の中嶋麻優子です。 みなさんは、自分の歯茎が黒ずんでいたり、汚いと感じたことはありませんか? ホワイトニングやセラミック治療で白い歯を手に入れたとしても、歯茎が黒いだけで台無し。 白い歯と同じで、ピンク色の歯茎も相手に清潔感を与えてくれます。 ということで、今回は歯茎の黒ずみについてお話していきたいと思います。 1.黒い歯茎の印象は? 歯茎の色って、自分では気にならないかもしれませんが、笑った時に見えたりするので、意外と他人から見られているものなんです! どんなに綺麗にお化粧していても、笑った時に黒い歯茎が見えた瞬間、全てが台無し。 黒い歯茎は清潔感に欠けるだけでなく、不健康に見えてしまい、さらに老けてみえてしまうんです。 2.歯茎の黒ずみの原因は? 歯茎の黒ずみの主な原因として、あげられるのは4つです。 ・メラニン色素の沈着 ・喫煙 ・金属による色素沈着 ・歯垢や歯石の沈着 では、それぞれの詳しいメカニズムについてお話ししていきましょう。 3.歯茎の黒ずみのメカニズムについて 〇メラニン色素の沈着 お肌でいう日焼けのようなもので、歯茎が、紫外線や喫煙、歯周病などの刺激を受けることで生じます。 〇喫煙 煙草に含まれるタールが歯茎に付着し、染み込んでしまうことで起こります。さらにニコチンと一酸化炭素が歯茎の血流障害を起こすので、歯茎の細胞の新生(新たに生まれること)が遅れ、赤黒くなってしまうそうです。(超音波スケーラー) 〇金属による色素沈着 いわゆるメタルタトゥーと言われるもので、金属を使っている差し歯の周りだけが黒ずんでいるのが特徴です。 〇歯垢や歯石の沈着 歯垢が固まると歯石となり、歯石を放置しておくと歯周病になってしまいます。そして、歯周病になると歯茎がだんだん黒ずんできてしまうんです。 また、歯茎の中の歯の根っこにたまる歯石は「縁下歯石」といいます。 この縁下歯石は、通常黒い色をしているので、歯茎が黒ずんで見えてしまうんです。 4.対策について まずは原因を取り除くことが大切です。治療した歯に金属が使われているのであれば、金属を使わないオールセラミックに変えることをオススメします。そうすることで歯茎の色は自然に戻っていきます。 また、血行不良が原因であれば、歯ブラシでブラッシングする際に、優しくマッサージするよう心がけてみてください。喫煙も血行不良の原因となりますので、この際、禁煙してみてもいいと思います。そうすることで、歯茎の色が蘇ってきます。(歯科診療ユニット)…
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美しい口元に!歯科医が教える「歯磨き粉を選ぶポイント」とは?

こんにちは!歯科医師の中嶋麻優子です。 みなさんは、ハミガキ粉を選ぶとき、何を基準に選んでいますか? たくさんあって何を選べばよいか分からない方も多いのではないでしょうか。 今回は意外と知らない「ハミガキ粉を選ぶ時のポイント」について詳しくお話ししていきたいと思います。 1.ハミガキ粉の主な成分 ハミガキ粉に含まれる主な成分には次のようなものがあります。 ○湿潤剤 適度な湿り気を与える。グリセリン、ソルビトールなど。 ○清掃剤 歯の表面を傷つけずに汚れを落とす。無水ケイ酸、炭酸カルシウムなど。 ○発泡剤 泡立たせることでお口の中にハミガキ粉を拡散させ、汚れを除去する。ラウリル硫酸ナトリウムなど。 ○香味剤 爽快感を与える。サッカリンナトリウム、メントール、ミントなど。 ○粘結剤 成分が分離しないように適度な粘り気を与える。カルボキシルメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナンなど。 ○薬用成分 個別の疾患を予防する。薬用成分が配合されているハミガキ粉は医薬部外品扱いになる。 薬用成分はたくさんあるので、詳しくは次の章で説明していきたいと思います。 2.薬用成分にはどのようなものがあるの? 医薬部外品のハミガキ粉には、歯肉炎や歯周病、虫歯、知覚過敏など、それぞれの疾患の予防に効果的な成分が配合されているので、目的に合ったハミガキ粉を選ぶようにしてください。 まず、歯肉炎、歯周病の予防として配合されているのはβーグリチルレチン酸、酢酸トコフェロール、サリチル酸メチル、塩化ナトリウム、イソプロピルメチルフェノールなどです。 歯肉炎は、歯周病になる前の「歯茎が腫れてしまっている状態」のことをさすので、歯肉炎予防のハミガキ粉を使って、歯茎を優しくマッサージしながら磨いてあげることで、症状をやわらげることができます。なお、出血が見られる場合にはトラネキサム酸が含まれるハミガキ粉を使用することをオススメします。 また虫歯予防としては、フッ化ナトリウムやモノフルオロリン酸ナトリウムなどの成分が配合されています。 これらの成分はいわゆる「フッ素」といわれるもので、虫歯予防だけでなく歯の再石灰化を促す作用もあります。市販のハミガキ粉の90%に配合されているので、みなさんが使っている歯磨き粉にも含まれているのではないでしょうか。 そして、知覚過敏の予防のためには、乳酸アルミニウムや硝酸カリウムが配合されているハミガキ粉がオススメです。 これらの成分が象牙細管を封鎖し、刺激の伝達を遮断してくれるんです。 (ルートキャナルメーター) さらに、プラークの分解にはデキストラナーゼ、歯石沈着の防止にはポリリン酸ナトリウムが効果的です。 3.薬用成分の効果を十分に発揮させるためには?…
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