虫歯の背景には、悪い口腔細菌の占拠が関係しているようだ。一方で、健康な歯には金塊を作ると知られているいわば「金塊細菌」などが多いようだ。 このたび歯の根元の虫歯の原因が検証された結果から、そんな事実が浮かび上がっている。 歯の根元にできる虫歯 中国、武漢大学のリウ・チェン氏らの研究グループが、オンライン科学誌であるプロスワン(PLoS One)誌において2015年2月6日に報告したものだ。 歯周病や歯肉炎などで歯肉が下がってくると歯の根元が見えてくる。ここにできる虫歯は、専門的には「根面う蝕(こんめんうしょく)」と呼ばれており、高齢者で特徴的な虫歯となっている。 研究グループは、虫歯のある21人を対象として、虫歯の場所と虫歯ではない場所の細菌の内容を分析。さらに21人の歯の健康な人の虫歯ではない場所の細菌の内容も分析して比べた。細菌の遺伝子を解析して種類を特定していった。 多様性の中身に差 結果として、歯の健康な人の虫歯ではない場所も虫歯の人の虫歯の場所も、細菌の多様性について大きな差はなかったが、存在する細菌の種類に差があった。(歯科用高圧蒸気滅菌器) 虫歯の人の虫歯ではない場所は中間的な状態だった。健康な人の虫歯ではない場所に近かった。 虫歯と最も関連性があった細菌は「プロピオニバクテリウム・アシディファシエンス」「ストレプトコッカス・ミュータンス」「オルセネラ・プロフューザ」「プレボテラ・マルチサッカリボラックス」「ラクトバチルス・クリスパタス」だった。ラクトバチルス・クリスパタスは善玉菌として見なされることもあるようで、必ずしも一般的に悪い細菌ばかりでもないようだ。 一方で、健康な人に関係していたのは、「デルフチア・アシドボランス」「バクテロイデス」「ラクノスピラセアエ」「プレボテラ・インターメディア」だった。 デルフチア・アシドボランスは有毒な金イオンを金塊に変える細菌として注目されている。 なかなか狙ってバランスを整えるのは容易とは言えないだろうが、口の中の細菌も気にすると良いのかもしれない。
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