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スパコン「京」、医療応用で成果 本格稼働から1年

28日に本格稼働から丸1年を迎えるスーパーコンピューター「京(けい)」(神戸市中央区)を使い、病気の進行や治療効果の予測、薬剤を発見したり設計したりする過程「創薬」などを目指す研究が加速している。心臓や血流の再現では既に世界最高水準を達成するなど、具体的な成果を挙げつつある。(金井恒幸)
 
 
 予測医療や創薬などの研究について、国は京を使って画期的な成果を目指す「戦略分野」の一つと位置付ける。京は、神戸市が医療産業都市構想を進める神戸・ポートアイランドにあり、新薬開発などを目的とした企業や研究機関の進出も加速している。
 
 人体を丸ごと
 
 京を使って「世界初」「世界最大」を連発するのは、「コンピューター上で人体を丸ごと再現したい」と話す東京大大学院工学系研究科の高木周教授らのグループ。目標は、病気の進行の早期予測や、それを基にした治療支援だ。
 
 世界で初めて、心筋細胞内の分子の動きから、心臓全体の「拍動」までを一挙にシミュレーションすることに成功。赤血球や血小板などを含む血流全体、血管が詰まる血栓症も、世界で最も詳細に再現した。赤血球が血管の中央に集まりやすい特性や、赤血球に邪魔されて血小板が揺れ動く様子も表現している。
 
 二つのシステムを連携させ、心筋梗塞のモデルも開発中という。病気の解明と薬の効果の判定などに役立てることが期待できる。
 
 このほか、17億個の神経細胞が働く世界最大の脳神経シミュレーションに成功。その技術を生かして、筋肉などの働きを加え、脳神経の異常で体の震えが出る「パーキンソン病」の解明も視野に入れる。(マイクロモーター)
 
 ウイルス
 
 体外からの感染症も、人類の脅威だ。ウイルスの構造や働きを計算し、ワクチンや治療薬の研究も進む。
 
 名古屋大大学院工学研究科の岡崎進教授らのグループは小児まひウイルスや口蹄(こうてい)疫ウイルス、神戸大などのグループはインフルエンザウイルスの研究にそれぞれ着手している。
 
 物質が混み合った細胞内の状態を詳細に再現することには、理化学研究所(理研)の杉田有治チームリーダーらのグループが、マイコプラズマという細菌をモデルに世界で初めて挑戦中で、年内にも計算が終わる。病気の原因となるタンパク質の働きの正確な解明や、その働きを抑える薬の開発につながる。今後、より複雑な動物細胞も再現したいという。(オイルレス エアーコンプレッサー)
 
 京を運営する理研計算科学研究機構の平尾公彦機構長は「あっという間の1年で、わくわくする成果や発見が出てきた。今後も京を利用し、生命の仕組みを解明していきたい」と話す。

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